著者
大津留 晶 ブライデン ベラ 三木 文夫 磯本 一 赤司 有史 小坂 光男 山下 俊一
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.131-141, 2000

がん遺伝子治療は進行癌や難治性癌の治療において, 副作用が少なくしかも効果的な治療となる可能性を秘めているが, 現段階における治験成績は必ずしも満足いくものではない.一方, 悪性腫瘍に対する温熱療法も, 癌細胞における熱ショック蛋白 (HSP) 誘導に代表される温熱抵抗性機序によりその効果は現況では限られたものである.しかし癌自殺遺伝子治療と温熱療法を併用することにより, 癌細胞に対するFas依存性アポトーシスを介した機序により, 著明な治療効果増強が得られることが見出された.さらに遺伝子治療における副作用をなくす目的で, 癌細胞の温熱耐性獲得時にHSP遺伝子のプロモーター活性が上昇することを応用した, 腫瘍選択的な分子標的治療を新たに考案したので報告する.