著者
志村 政留 伊藤 公一 上野 公志 葛西 晴雄 寺川 隆成
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.115-125, 1992

We investigated SAR (specific absorption rate) and temperature distributions produced by two different types of hexagonal array applicators. The array applicators were composed of coaxial-slot antennas used for microwave cancer therapy. One array applicator was made of 6 antennas which were placed at apexes of a hexagon. The other array consisted of 6 antennas at apexes and one at the center of the hexagon. The side of the hexagon was chosen to be 3 cm long. The 6-antenna array driven inphase at 430 MHz had a narrow region where the normalized SAR was more than 50%. This may cause a hot spot during hyperthermia treatments. The 7-antenna array driven in-phase provided wider and more uniform heating patterns. Temperature patterns calculated from the SAR patterns agreed well with experimental ones. Finally, we proposed 'heating volume' to evaluate the heating characteristics of the hexagonal arrays.
著者
加藤 和夫 松田 甚一 斉藤 義明
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.171-177, 1985-12-01 (Released:2009-09-29)
参考文献数
3
被引用文献数
1

We will present a new RF capacitive heating method in order to heat a human deep seated tumor effectively. In our method, a human body is immersed in a water bath and dielectric plates are used to control the RF electric current distribution throughout the human body.From the computer simulations, it is shown that a deep seated tumor may be heated safely without generating dangerous hot spots, when a subcutaneous fat layer, bone, etc., are shielded electrically by these dielectric plates.
著者
三上 恒治 村上 卓道 岡田 篤哉 丸川 太朗 中村 仁信
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.129-137, 2005
被引用文献数
1

集束超音波療法 (Focused Ultrasound Surgery;FUS) は, 焦点域の組織のみを壊死させる低侵襲性熱凝固治療である.50年前より超音波ガイドによるFUS治療の臨床応用が報告されてきたが, 不正確な位置情報, 温度測定法の欠如, 治療効果の評価法の欠如により十分な治療成績が得られていなかった.しかしながら, MRIガイドによる正確な位置情報の取得と治療中の温度計測により安全で正確な治療が可能になった.また造影MRIにより治療直後に治療効果を評価することが可能となった.本稿ではMRIガイド下FUS治療の原理, 治療方法と最近の臨床応用について述べる.
著者
大津留 晶 ブライデン ベラ 三木 文夫 磯本 一 赤司 有史 小坂 光男 山下 俊一
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.131-141, 2000

がん遺伝子治療は進行癌や難治性癌の治療において, 副作用が少なくしかも効果的な治療となる可能性を秘めているが, 現段階における治験成績は必ずしも満足いくものではない.一方, 悪性腫瘍に対する温熱療法も, 癌細胞における熱ショック蛋白 (HSP) 誘導に代表される温熱抵抗性機序によりその効果は現況では限られたものである.しかし癌自殺遺伝子治療と温熱療法を併用することにより, 癌細胞に対するFas依存性アポトーシスを介した機序により, 著明な治療効果増強が得られることが見出された.さらに遺伝子治療における副作用をなくす目的で, 癌細胞の温熱耐性獲得時にHSP遺伝子のプロモーター活性が上昇することを応用した, 腫瘍選択的な分子標的治療を新たに考案したので報告する.
著者
高橋 健夫
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
Thermal Medicine (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.171-179, 2007-12-20 (Released:2008-02-13)
参考文献数
42
被引用文献数
2

温熱療法 (hyperthermia) は以前から癌治療の3本柱である外科治療, 放射線治療ならびに化学療法についで直接的な殺細胞効果を持つ治療に位置づけられてきた. 通常43°C以上の加温が実現できるとin vitro, in vivoのいずれにおいても強い抗腫瘍効果を引き起こす. 43°C以上の加温では, 細胞致死に関与する不活性化エネルギーが異なっていることが知られている. 43°C以下での加温, mild hyperthermia単独では細胞致死効果は軽微であるものの, 抗癌剤 (anti-cancer drug) やサイトカイン (cytokine) ならびに低線量率放射線 (low dose-rate irradiation) との併用効果により顕著な増感効果を示す場合が多い. またmild hyperthermiaは局所的に用いても免疫能を高め, 免疫による細胞致死効果を増強させることが明らかになりつつある. 温熱療法の機構は温熱耐性 (thermoresistance) に関わるとされてきた分子シャペロンであるheat shock protein (HSP) が, 実は免疫能を高める役割を果たしていることも明らかにされつつある. 一時は低迷していた免疫療法ならびに温熱療法が, それぞれの組み合わせにより従来考えられていた以上の効果を発揮する治療へと変貌を遂げる可能性を秘めている. また遺伝子学的にも温熱療法のメカニズムが解明されつつあり, 標的遺伝子をターゲットにした温熱併用の分子標的治療の可能性も模索され始めている. 今回は, これらについての現状を解説する.
著者
大栗 隆行
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
Thermal Medicine (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.5-12, 2015-06-30 (Released:2015-09-04)
参考文献数
43
被引用文献数
1 5

本邦では1990年より放射線治療併用時にのみ電磁波温熱療法は健康保険適応となり, 1996年以降は保険適応の拡大により全面収載された. 以降, 改定なく浅在性悪性腫瘍または深在性悪性腫瘍に対する一連の加温につき保険点数が設定されている. しかしながら, 電磁波温熱療法は週に1~2回の治療を何度も継続することで効果が発現されることが多く, 経済的・運営面の悪さから本療法が敬遠され普及が阻まれているものと思われる.メタアナリシスまたはランダム化比較試験に基づくレベルIエビデンスとして, 放射線治療との併用で頭頸部癌, 乳癌, 悪性黒色腫, 非小細胞肺癌, 食道癌, 子宮頸癌, 直腸癌, 膀胱癌と多くの疾患群において局所制御率や腫瘍完全消失率の有意な改善が確認されている. 化学療法との併用では, 高悪性度軟部肉腫や肝臓癌においてレベル Iエビデンスが認められる. 全生存率までの有意な改善は, 子宮頸癌と直腸癌では放射線治療との併用において, 高悪性度軟部肉腫では化学療法との併用, 食道癌では化学放射線療法との併用において得られている. 近年, 他の癌腫においても有望なPhase II studyの結果が, 温熱化学療法や温熱化学放射線療法において報告されている.本稿では, 診療報酬改定の根拠となりうる上述の温熱療法の臨床試験の概要や, 現在進行中の温熱療法の臨床試験に関し概説する.
著者
武田 力 高橋 徹 山本 五郎 長谷川 武夫 武田 和 武田 寛子
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
Thermal Medicine (ISSN:18822576)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-16, 2012-03-20 (Released:2012-05-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2

第28回日本ハイパーサーミア学会大会においてシンポジウム, 温熱の免疫科学 (基礎と臨床) が開かれた. その内容をもとにまとめられた4論文の一つである. 臨床 : 6年間に1,386例の進行再発癌患者に温熱または免疫療法を行った. ハイパーサーミアを1,307例に, 活性化リンパ球を995例に, 樹状細胞を689例に施行した. 評価可能な1,307例のうち臨床的有効例 (CR+PR+longSD) は188例 (14.0%) で完治例は35例であった. 免疫療法の臨床的有効率は, ハイパーサーミアを併用することにより8.1%から17.9%にあがった. もっとも効果のあったのは樹状細胞療法と活性化リンパ球とハイパーサーミアを併用した群で20.5%であった. 基礎 : マウスにLLC腫瘍を移植したのちハイパーサーミアと活性化リンパ球とその双方で治療する3群で腫瘍の増殖と肺転移数を比較したところ, ハイパーサーミアと活性化リンパ球単独でも抑制されるが双方を併用した群では相乗的な抑制がみとめられた. 次に同じ実験系で分子標的治療物質 (erlotinibとsorafenib) を与える群とハイパーサーミア群で比較したところ, 腫瘍増殖および肺転移数いずれにおいても, 分子標的治療物質単独群とハイパーサーミア単独群より, 両者を併用した群で抑制が強かった. また同時にアポトーシスの誘導も併用群で増強していた. 臨床データおよび基礎実験において温熱療法が癌に対する免疫療法を増強することが示された.
著者
三上 恒治 村上 卓道 岡田 篤哉 丸川 太朗 中村 仁信
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.129-137, 2005-09-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

集束超音波療法 (Focused Ultrasound Surgery;FUS) は, 焦点域の組織のみを壊死させる低侵襲性熱凝固治療である.50年前より超音波ガイドによるFUS治療の臨床応用が報告されてきたが, 不正確な位置情報, 温度測定法の欠如, 治療効果の評価法の欠如により十分な治療成績が得られていなかった.しかしながら, MRIガイドによる正確な位置情報の取得と治療中の温度計測により安全で正確な治療が可能になった.また造影MRIにより治療直後に治療効果を評価することが可能となった.本稿ではMRIガイド下FUS治療の原理, 治療方法と最近の臨床応用について述べる.
著者
不破 信和 森田 皓三 室加 守 村尾 豪之 山田 哲也 野本 由人 木村 千明
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.197-203, 1990-06-01 (Released:2009-09-29)
参考文献数
8
被引用文献数
2 4

RF capacitive heating is recongnized as a therapy which produces superb therapeutic effects, for it can be used over a wide range. When combined radiotherapy, satisfactory therapeutic results have been reported. As for complications caused by this therapy, however, particulars still remain unknown. This study aims at defining those complications.A total of 80 instances of therapy which were combined with radiotherapy from January, 1983 to May, 1989 were studied. Examinations were given on instances of therapy discontinued, extent of each pain and burn, influence upon cardiovascular system, and particular lesion for each pars.Instance of therapy discontinued 15 (19%). Most reasons were systemic aggravation and pain. Therapy discontinuance was seen mostly in abdomen. Intense pain and burns were observed in chest wall and hypogartrium, particularly postoperative chest wall of breast carcinoma and hypogastrium thickened with panniculus adiposus of more than 3 cm suffered most.As for influence upon cardiovascular system, increase of pulse rate was observed during the therapy in hypogastrium and chest wall. Particularly, chest wall sinister with poor P. S evidently indicated this phenomenon. As for particular lesion for each pars, interstitial pnuemonitis was caused with 2 instances of heated chest wall of which exciting cause seemed to be hyperthermia. And acute erosive gastritis was caused in the heated pars among instances of heated gastric angle.
著者
渡辺 大亮 宮川 道夫 齊藤 義明
出版者
日本ハイパーサーミア学会
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.309-317, 1992-12-01 (Released:2009-09-29)
参考文献数
5

The feasibility of the chirp radar-type microwave computed tomography as the non-invasive thermometry system for hyperthermia has been discussed. The temperature resolution which has never been measured accurately up to the present time is basically determined by the resolution in attenuation measurement of microwaves and the accuracy of the bolus temperature control system. By improving the experimental system including the temperature control system, we succeeded in imaging of the temperature change by 1°C.The time required for the measurement which is required about 100 minutes now must be reduced for the practical use of the microwave CT. In this paper, the possibility of data reduction has also been discussed by comparing the quality of CT images reconstructed from reduced amount of data. From the experimental results, it is concluded that the amount of data required to reconstruct the CT images, even in the case of temperature imaging, can be reduced to at least one half by keeping the spatial resolution of 1 cm and the temperature resolution of 1 °C.