著者
高橋 公明 池内 敏 ロビンソン ケネス 橋本 雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

大陸沿岸・半島部・島嶼部で構成される東アジアでは、海を舞台とした人間の営みが大きな意味を持つ。本研究では、東アジアの国際関係史、文化交流史および海事史などで扱われている諸課題を相互に連関させ、かつそれらを基礎づけるとものとして「海域史」を位置づける。その立場から既知・未知を問わずに資史料を発掘し、新たな方法論を提示して、これまで見えてこなかった局面に光をあてた。こうした「海域史」の立場から資史料を見たとき、常に大きな困難となるのは資史料の性格である。第1に、中心(国家)から周縁(地域)を見る立場から作成された資史料が多いこと、第2に、「嘘」や「誇張」が含まれた記述を解釈しなければならないこと、第3に、文学作品や舞台表現など、そもそも「事実」であることを保証していないものも、資史料として活用しなければならないことなどである。以上の認識に基づいて、(1)古地図は何を語っているのか、(2)文学表現のなかの言説と「事実」のあいだ、(3)偽使の虚実を超えての3点の課題を設定し、これからの海域史研究における史資料活用の可能性を広げるための検討をおこなった。その結果、研究代表者・研究分担者だけでなく、研究協力者からも多様な成果が提示された。それらの成果は、国際的な学術誌を含め、論文・著書として発表され、最新の成果に関しては研究報告書に結実した。
著者
クリステワ ツベタナ 小峯 和明 スティール ウィリアム 小島 康敬 古藤 友子 ロビンソン ケネス 宮沢 恵理子 高崎 恵
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果を大きく次の三つに分けることができる。すなわち1.パロディといういまだほとんど取り上げられていないテーマに焦点を合わせて、テーマの意義を証明し、研究方法を示したこと;2.日本文化におけるパロディのあらゆる可能性を分析することによって、すでにパロディとして取り扱われている作品やジャンルなどについて確認した上、いまだパロディと見なされていないが、パロディとして捉えるべき作品やジャンルについて指摘したこと;3.日本文化の発展におけるパロディの働きと役割の考察を通じて、意味生成過程のパターン、引用行為のメカニズム、文化的伝統の伝達など、日本文化の特徴に着目したことである。