著者
ローベル 柊子
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では外国語で執筆する越境作家が出身地の言語的文化的要素をいかに別の言語で表現し、外国においていかに作家としてのアイデンティティを形成したかを検討した。特にミラン・クンデラのケースに注目し、これをもとに他の作家との比較検討を行った。外国語執筆の契機は亡命、移民、旧植民地出身、個人的な選択など多様だが、多くの越境作家において地域に根差した表現が顕著に見られ、越境の経験が創作の源となっている。クンデラにおいては世界的に読まれることへの意識が強く、ローカルな要素の表現に抑制が見られた。国内外での学会発表、ワークショップ、著作を通して成果を広く公開した。