著者
陳 明石 清水 忠男 佐藤 公信 一海 有里
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.7-12, 1999-07-31

商店街の「公有私用型」歩行者空間の例として, 千葉県千葉市の商店街を対象に調査を行った。対象地域の歩行者空間には, 日中, 様々な仮設的要素が路上に観察された。店舗からはみ出している商品や広告物に関しては, 商店側は歩行者の通行阻害になるのを認識しつつ意図的に路上に置く傾向がある。歩行者はそれら仮設的要素を「街の活気が感じられる」「歩きながら店の様子を知ることができる」「気軽に商品を見られる」と肯定的に評価する一方, 十分に歩行者の目を楽しませる魅力がないことについて否定的に評価している。また, 放置自転車については, 歩行者・商店側共に否定的な評価であり, 路上に設置された店舗側からの日除けの支持物についても, 歩行者側は否定的である。これらのことから, 商業地域の歩行者空間に見られる仮設的要素に関する人々の評価は, その種類や置かれ方及び評価する人の立場によって異なり, 相反することもあるといえる。従って, 商店街に活性化を促したり, 人々の利便性や楽しみを生み出すためには, 路上の仮設的要素を一律的に規制するのではなく, 多様な要求を念頭においた制御の仕方が求められる。
著者
陳 明石 清水 忠男 佐藤 公信 一海 有里
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.13-18, 1999-07-31

調査対象となった岐阜県高山市の商店街路は, 私有地と公有地とを取り込み, 同じ舗装を施し, 一体感や広がり感を作り出している屋根付きの歩行者空間である。ここには, 平日, 週末を問わず, 店舗の営業時間に呼応して, 様々な仮設的要素が路上に置かれているのが観察された。それら仮設的要素の置かれ方は商店街の協定に基づいているため, 広い通行空間がほぼ確保され, 歩行者は歩きながら商品を楽しみ, 店内の様子をうかがうことが可能である。この点はアンケート調査においても肯定的に受けとめられていた。この空間は, 行政と商店側が双方の所有地を共同で計画, より幅広い歩行者空間としてデザインし作り上げた公私融合型歩行者空間ということができる。このようななりたちの歩行者空間は, 立場の異る様々な人々の多様な活動を支援し, コミュニケーションを促進する場となり, 商店街を活性化させる一つの有効なあり方を示している。
著者
陳 明石 清水 忠男一 佐藤 公信 一海 有里
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.528, pp.171-178, 2000
被引用文献数
4 4

This study aims at getting an idea which explains the usage and function of Gi-lou spaces through close examination of identification of the temporary elements and the changes in kind and number of elements involved in these spaces with the change of time. As a result, it was found out that the kind and number of these elements increase remarkably in the afternoon to evening of Saturday and Sunday compared to a weekday in keeping with the increase of the traffic. It seems that the spaces are deeply incorporated into the lifestyle of city people in Taiwan.