- 著者
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吉田 修
七里 泰正
奥野 博
寺井 章人
岡田 裕作
吉村 直樹
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1996
今回の疫学調査では1990年および1995年の尿路結石患者の年齢、性、部位、初発・再発別頻度と治療法別頻度につき調査表による集計を行った。1997年時点の日本泌尿器科学会専門医教育認定施設(1,197施設)に調査を依頼し、1995年調査では439施設より計85,239例の情報が集積された。初発上部尿路結石症の年間罹患率(10万対)は1965年の43.7から1995年には80.9へと大幅に増加した。1980年日本人口を基準に年齢調整した年間罹患率は1965年54.2、1995年68.9であった。1965年時点の年齢階級別人口をコホートとみなした年間罹患率の経時的変化では、若い世代ほど年間罹患率の増加は著明であった。また、1965年全人口(9830万人)をコホートとみなすと、1965年43.7、1975年64.0、1985年88.9、1995年110.9と顕著な増加を示した。これらの結果から、近い将来も日本人全体での年間罹患率の増加傾向は継続すると推察された。治療法別では、86〜87%がESWL単独で、またPNL、TULおよびESWLとの併用療法も含めると97〜98%がendourologyで治療されており、従来の開放手術は3%以下に激減した。ESWL装置の全国設置台数は1990年258台、1995年528台であった。上部尿路結石症の推計患者数(1990年115,500例、1995年147,700例)からみて、ESWL治療患者数は1990年44,000例、1995年57,800例と推計され、ESWL装置1台あたりの治療症例数にすると1990年の171例から1995年には109例と減少していた。このことから、わが国のESWL装置は既に飽和状態に達していると考えられる。