- 著者
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三好 裕子
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.150, pp.101-115, 2011 (Released:2017-02-17)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
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本研究は,一文中において統語的な関係にある語と語の結びつきを共起表現と称し,動詞の指導方法として,動詞および動詞と共起する語とからなる共起表現を複数例示し,共起する語の共通点を考えさせることでそのカテゴリー化を促し,動詞の意味と共起関係の理解を図る指導方法(Categorize法,CA法と略す)を考案した。CA法を,提示した個々の共起表現を覚えさせる方法と比べる実験を行い,有効性を検証した。実験では,二つの方法での動詞の学習の後ポストテストとして短文の共起表現部分の正誤判断問題をさせ,アンケートと遅延テストも行った。 当日テストでは提示しなかった共起表現の問題で,CA法は覚えさせる方法より成績が良く,提示した共起表現の問題でも同等の成績で,効果が証明された。効果の要因として,共起する語のカテゴリーや母語との相違への気付きが挙げられた。一方,遅延テストでは,統計上の差が認められなかった。