著者
三宅 明正
出版者
政治経済学・経済史学会
雑誌
土地制度史学 (ISSN:04933567)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.p35-42, 1991-04

The purpose of this paper is to analyze the industrial relations in Japan under the occupation. It is characterized by the state of trade-unions. In the early stage of the occupation Japanese unions were organized by both blue collars and white collars. They were called Juugyooin-Kumiai (Employee Union). Their antecedent was the Sangyoo-Houkokukai (Industrial Patriotic Association) during the war. The organization of Juugyooin-Kumiai was established through the Seisan-Kanri-Tousou (the struggle for production control). The characteristics of Juugyooin-Kumiai are as follows. 1) The members of this organization were those who belonged to the same company. 2) They regarded themselves as producers. 3) They understood themselves as the central power of postwar reconstruction. These characteristics were to be embedded in the Japanese industrial relations after the end of the occupation.
著者
三宅 明正
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-13, 2012

千葉大学「人文研究」第41号
著者
河西 宏祐 松戸 武彦 三宅 明正
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1 本研究は, 日本における産業別労働組織が,どのような構造的, 機能的特質をもっているかを, 歴史的, 実態的に解明することを目的とした.2 まず歴史的研究についてみれば, 戦後の主要労働争議に関して, 数多くの文書資料を収集した他, 当時の関係者から証言を収集した. これらを分析, 検討を加えた結果, 次の諸点が明らかとなった.(1)日本では戦後の約10年間, 企業別組合よりも産業別組合が運動思想における主流の位置を占め, 産業別労使関係が主たる労使関係制度を作りだしていた.(2)1955年前後, 主要な産業において大争議が瀕発し, それを契機として産業別組合の解体, そして企業別組合の時代へと推移している. したがって日本において企業別組合が制度として定着するのは, 1955年以降である.3 1955年以降の現在に至る「企業別組合主義」の時代について, 海運, 造船, 私鉄などの各産業の産業別組織について実態調査を行なった結果, 次のことが明らかとなった.(1)これら, 日本の産業構造の中軸を支えてきた各産業においては, 現在においても, 産業別労災組織の影響力がきわめて強い.(2)最近, 労働運動の停滞がいわれる中にあって, これらの産業では, むしろ逆に組合運動の活性化の傾向がみられる.(3)各産業における組合運動の活性化の条件は, 次のものである. <1>産業別組織が産業政策を作成し, 経営者側団体との交渉, 協議を通じて, その実現に成功している. <2>産業別組織が労働条件に関するモデル水準を設定しそのための到達闘争を指導する他, 強力な産業別機能を展開している. <3>産業別組織が労働管理制度を平等原理によって再構成し, その中の人事考課の余地を少なくしている.
著者
三宅 明正
出版者
千葉大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1 研究経過平成6年度には、いずゞ自動車株式会社、東京急行株式会社、神奈川県立公文書館、横浜市史編集室、東京大学社会科学研究所、同志社大学人文科学研究所を調査し、神奈川県地域を主な対象として、戦時・戦後の労働組織に関する史料を調査、収集した。また、労働関係図書を購入し、これを併せて参照しつつ、収集した史料を分類して整理した。新たに得られた知見としては、(1)いくつかの工場には、戦時・戦後の労働組織について、学界でなお末利用の史料があるということ、(2)戦時、戦後初期(労働組合結成期)、企業再建整備時(占領後期)の3つの時期について、労働組織のありかたには共通する側面が強いということの、2点である。後者について、やや詳しく述べると、表面的なイデオロギーとは別に、労働組織の編成原理(工員と職員を包含しようとする点、従業員を生産を行なう主体として位置付けしようとする点)に一貫性がうかがわれるということである。2 研究の評価当初に計画した研究目的、計画方法との関連では、史料の存在状況から、調査対象を一部変更した点を除いて、ほぼ予定通りに遂行された。また、当該テーマの少し後の時期の労働者組織に関連する論文もまとめることができた。