著者
三島 済一
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.197, 1993-10-30

姫路の眼科医,高橋江春が明治18年,国産最初の義眼を作り,『義眼要弁』という本を著した。曾孫の高橋先生,京都の奥沢先生からその実物を送って頂いて,見ると素晴らしい出来ばえで,お椀のような形をし,眼球の上にかぶせるようになっている。当時は風眼,旬行性角膜潰瘍が非常に多く,角膜ぶどう腫や眼球萎縮などになったので,前者では眼球縮小術をしてこの義眼をかぶせると,よく動き,容貌が改善し,喜ばれたことはまちがいない。 明治28年,日清戦争で負傷した元兵士に対し,恩賜の義手,義足,義眼が下賜されている。当時の義眼には輸入されたものもあったが,この恩賜の義眼は高橋義眼であろうと思っている。当時の陸軍軍医学校の図書室には眼科の本として,保利真直著3冊,伊東元春訳1冊と『義眼要弁』があった。したがって陸軍は高橋義眼をよく知っており,これを用いたに違いない。
著者
柳沢 正 砥石 佳子 中島 文香 三島 済 中島 浩美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.198, 2005

はじめに<BR>今回当院手術室において17年間使用しているスリッパ洗浄機が故障を繰り返し、買い換えるか買い換えないか、という問題を機会にスリッパ管理の見直しをした。CDCガイドラインにおいては手術室の床が手術部位感染(SSI)の原因とはならないとされていることから、スリッパ洗浄を中止し、院内一足制を導入することにした。導入にあたり医師、スタッフの感染に対する意識の改革とスリッパ洗浄にかかるコストの削減ができたので報告する。<BR>結果、考察<BR>2004年4月に調査した結果、手術室に出入りした人数は約1900人、洗浄スリッパ数2694足であった。1か月の洗浄回数は83回。スリッパの履き替えに関しては規則が無く、1人で1日に何回も履き替えていたことがわかった。出入り口には脱ぎっぱなしのスリッパが散乱し、通行の妨げになっていた。また助手業務にスリッパ洗浄に費やす時間が多い事がわかり業務の見直しを行なった。<BR>手術室スタッフ、医師にスリッパ履き替えについてアンケート調査を行なった結果は1足制導入に関して感染、物品の汚染が考えられるという回答が多くあまりいい返事が聞かれなかった。手術室の床は手術部位感染の原因にはならないこと、床はもともと汚く床に座る、床置き物品、清掃など間違った認識の改革から始めることにした。<BR>院内感染対策委員会のアドバイスを受け、CDCガイドラインに基づいた手術部位感染防止について、手術室スタッフに学習会を行ない、床置き物品の整備、清掃手順を明文化し統一化を図った。医師に関しては部長医長会議で反発の意見が多い中、手術部部長より今なぜ履物交換規則の廃止なのかについて説明し説得した。また院内メールを利用して、職員に1足制導入についての情報提供することで、入室に関しての統一化ができた。またさまざまな意見や要望をいただき、参考にすることができた。<BR>院内1足制導入に伴い、個人別下駄箱を設けることにより履物を自己管理とし、導入後1か月で3割が院内1足制、7割が手術室1足制に移行することができた。この事で出入り口周辺のスリッパの散乱が無くなりスムーズな通行ができるようになった。<BR>スリッパ洗浄が無くなり、洗浄機の買い替えが無くなった事、スリッパ代、修理代、スリッパ洗浄にかかっていた、水道代、電気代、洗剤代、人件費のコスト削減につながった。院内一足制導入に伴い自己を守る、感染防止などでシューズカバーの使用が増えたことに関しては、感染に対する意識が高まったと考えられる。そして床に座ること、床置きの物品が無くなり、清掃手順も遵守されていることは、床に対して不潔であるという認識が強くなったと考えられる。