著者
三木 保
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.483-492, 2013-05-15
参考文献数
12

  「東京医大病院 細管誤挿入で脳死状態 50代主婦 胸腔に点滴液たまる」.2003年11月11日の産経新聞の社会面のトップ記事は,東京医科大学病院の全職員を震撼させた.また,これが一連のマスコミを騒がす東京医科大学の医療安全体制の不備の露呈の始まりで,2004年の心臓外科の手術の医療事故(心臓手術で同一医師による4例の死亡例)から主任教授辞任,2005年の特定機能病院指定取り消しと,負のスパイラルへのプロローグになろうとは誰も想像はできなかった.当初これはごく一部の単なる医療事故のように見えた.しかしその本質は組織の単純なミス,油断ではなく,組織全体の虚構の医療安全体制の露呈であった.失った信頼を取り戻すためには,長い時間と多くの努力を要した.今回の東京医科大学病院でのわが国初のCVラインセンターの設置プロジェクトは,まさに真の医療安全文化構築への挑戦であった.
著者
河野 暢之 勝見 正治 谷口 勝俊 福永 裕充 山本 達夫 岡 統三 尾野 光市 淺江 正純 三木 保史 小西 隆蔵 遠藤 悟 植阪 和修 玉置 英人 児玉 悦男
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.18, no.12, pp.2436-2440, 1985-12-01

食道静脈癌に食道離断, 血行遮断, 脾適除, 胃瘻造設術を施行した症例に^<99m>Tc Sulfer-Colloid 混入試験食のによる gastroscintigram により術後の胃排出動態をみた, 幽門形成術付加群5例, 非付加群9例の2群の胃排出時間 (T1/2) を経時的に測定したところ, 術後3ヵ月までは幽門形成術付加群に胃排出時間のばらつきがみられたが, 以後は排出遅延例はみられず, 経時的に短縮する傾向がみられた. 3ヵ月以後両群は分時胃排出率もほぼ等しく, 同じ胃排出動態を示し, 幽門形成術の有無による差を認めなかった. また胃形態よりみて術後は牛角胃を呈していた. 胃瘻造設により術直後の胃拡張, 過度の胃内圧上昇を防ぎさえすれば, 幽門形成術は必要でないと思われた.