- 著者
 
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             岡村 貞夫
             
             佐々木 政一
             
             勝見 正治
             
             谷口 勝俊
             
             田伏 洋治
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - Japan Surgical Association
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.45, no.2, pp.113-118, 1984-02-25 (Released:2009-02-10)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 22
 
          
          
        
        
        
        当科及び和歌山県並びに周辺地区の関連16施設において手術を受けた消化性潰瘍患者2,175名について血液型と潰瘍の関係を調査し,和歌山県の昭和56年度献血者69,097名の血液型分布を対照に検討した. 調査項目は個人的背景に重点をおき,手術適応別,潰瘍家族歴及び初発年齢別に分類し調査した. その結果,対照群ではA型37%, B型23%, AB型10%, O型30%であるのに対し,潰瘍2,175例では, A型33%, B型21%, AB型8%, O型38%とA-O型分布の逆転がみられた(p<0.01). この傾向は胃潰瘍(GU)及び十二指腸潰瘍(DU)いずれにおいても認められ,手術適応別では出血性GUにおけるO型の頻度が47%と最も著明に増加していた(p<0.01). 家族歴を有する潰瘍患者は平均初発年齢が約10歳若く, GUでは家族歴のない潰瘍群と異り対照群と殆ど同様のA型優位の分布を示した. 又初発年齢別の検討でも30歳以下の年齢で発症したGU 116例は家族歴を有するGUと同様にA-O型分布の逆転がみられず,対照群との間に殆ど差を認めなかった. O型頻度の有意な増加はDU及び31歳以後に発症するGUのみに明らかであり, early onset typeのGUは血液型以外の因子が発症に関与している事が示唆された.