著者
田中 潔 五十嵐 透 三橋 啓了
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2120-2125, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

2,2,2-トリクロロ-5-トリフルオロメチル-2,2,2,3-テトラヒドロ-1,3,4,2-オキサジアザホスホールと種々の求核試薬との反応から,2-位に対応する置換基をもつ新規テトラヒドロオキサジアザホスホール誘導体を合成した。たとえば,TMS-p-クレゾールなどの酸素求核試薬との反応では2,2,2-三置換テトラヒドロオキサジアザホスホール誘導体が得られるのに対し,N-メチルアニリンとでは塩素原子を一つ残した2,2-二置換2-クロロテトラヒドロオキサジアザホスホールが,またp-アニシジンとではテトラヒドロオキサジアザホスホール環をもつホスファゼンが得られた。また,トリクロロテトラヒドロオキサジアザホスホールをNt-フェニルトリフルオロアセトヒドラジドと反応させ,二つのテトラヒドロオキサジアザホスホール環で構成された,リンをスピロ原子にもつ新規スピロ環化合物を合成した。以上得られたテトラヒドロオキサジアザホスホール誘導体の構造についてリンの化学シフト値を基に考察した。また他のスペクトルの結果についても考察した。