著者
木村 誓 柏谷 景昌 浅原 照三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.1543-1545, 1957-12-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
14

高級パラフィン炭化水素のニトロ化は一般に困難であるが, 今回n - ドデカンを試料として, 最近発展してきた気- 液相ニトロ化を試み,硝酸蒸気で150~190℃の反応温度において容易にニトロ化されることを認めた。本反応によるとモノニトロ化合物とともにポリニトロ化合物, また副反応の酸化生成物が生ずるが, 反応温度, 硝酸の使用量およびその濃度を変化した各条件下に実験を行い, 反応物中の未反応炭化水素, ニトロ化合物, および脂肪酸の生成状況を検討した。かくして濃硝酸( 比重1.38) を炭化水素に対して等モル比で使用し, 180℃で反応させて, モノニトロドデカンを最も収量よくうることが出来た。赤外線吸収スペクトルおよび化学的試験により,生成モノニトロ化合物は少量の第1級ニトロパラフィンを含んだ第2 級ニトロパラフィンの混合物なることを認めた。

1 0 0 0 11油脂

著者
浅原 照三 山下 健二郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.12, pp.115R-120R, 1961

1959~60年の間の油脂の分析に関する研究発表の概要をここにまとめてみることにする.なお,わが国の油脂全般の研究業績についてはすでにまとめられている.以下便宜的に植物油脂,動物油脂,脂肪酸,ロウ,ステロイド,複合脂質,洗剤およびその他の各項目にわけて記述する.
著者
浅原 照三 山下 健二郎 片山 志富
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.485-489, 1963
被引用文献数
3

最も簡単な脂肪族オキシ酸であるグリコール酸より導びかれるポリグリコリドに関して,その生成原料の検討,反応速度,反応温度の決定などについての研究を行なった。ポリグリコリド生成の原料としては,グリコール酸,モノクロル酢酸およびモノクロル酢酸ナトリウムを用いた。グリコール酸およびモノクロル酢酸ナトリウムは触媒の存否にかかわらず反応するがモノクロル酢酸の反応は触媒が存在しなければ進行しない。グリコール酸の脱水反応は無触媒の場合にも酸化アンチモンの場合にもともに見掛けの3次反応である。酸化アンチモンを加えれば,反応速度は大きくなるが,分解反応も激しくなるので,無触媒のほうが高重合度のポリマーを与える。臭化カリウムを用いたモノクロル酢酸の反応は見掛けの2次反応であった。それぞれの場合の反応速度の解析値が得られた。常圧における最適反応温度は219℃ であるが,ポリグリコリドの融点や溶融粘度を考慮して,225~230℃ が望ましいと考えられる。