著者
近藤 史崇 岩井 俊治 三浦 智恵美 坂田 潤弥 太田 史 井戸 篤史 入江 奨 岡松 一樹 角正 浩一 三浦 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.16-00030, (Released:2016-11-01)
参考文献数
41
被引用文献数
5 7

養殖クロマグロに最適な飼料の開発を目指して,EP給餌と生餌給餌の体成長と消化関連因子の比較を行った。EP給餌のクロマグロの体成長は胃のペプシン活性が減少した後に一旦停滞したが,その後,幽門垂の肥大化に伴うプロテアーゼ活性の増加により生餌給餌と同程度に回復した。EPは生餌に比べて難消化であるため胃での滞留時間が長く,消化関連因子(cck, pyy)は生餌より遅れて発現した。成長関連因子(ghrelin)は餌の消化管内での移動に伴って発現が変動し,EP飼料では有意に増加する事が明らかとなった。
著者
水野 かおり 三浦 智恵美 三浦 猛
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.23-30, 2014-03-20 (Released:2015-04-02)
参考文献数
20

カワハギおよびウマヅラハギの適水温を明らかにするため,異なった水温(15°C,20°C,25°C,30°C)で63日間,飽食給餌下にて飼育し,両種の飼育成績を比較した。カワハギの成長は20°C~25°Cが最もよく,日間摂餌率および飼料効率は,15°Cと25°Cでは高水温ほど増加したが,30°Cでは減少した。ウマヅラハギは30°Cでは全ての個体が死亡した。日間増重率および日間摂餌率は,15°Cと20°Cでは高水温の20°Cの方がより増加したが,25°Cでは減少した。一方,飼料効率は15°Cが最も高く,高水温ほど減少した。これらの結果から,両種の飼育適水温はカワハギ20°C~25°C,ウマヅラハギ15°C~20°Cの範囲内であると推察された。また,海面小割生簀で15ヶ月間の飼育試験を実施した結果,カワハギは60 g から371 g,ウマヅラハギは24 g から267 g に成長し,累積死亡率は,カワハギでは29%と高く,ウマヅラハギでは 3%と低かった。
著者
三浦 猛 三浦 智恵美 太田 史
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-07-18

(1)前年度行ったメダカDNAマイクロアレイ解析の結果、昆虫由来免疫賦活化物質のメダカへの経口投与により腸管で発現が上昇する遺伝子群のうち、獲得免疫に関係するMHCクラスI関連因子のorla-UBA、免疫グロブリン重鎖IgVH、自然免疫に関係する補体Ca8、および細胞間結合に関係するClaudin 28bのエドワジェラ菌感染後の腸での発現をリアルタイムPCRにより調べた。その結果、いずれの免疫関連遺伝子も感染前および感染直後は、シルクロース投与群では発現量が多いものの、感染後12あるいは72時間では、シルクロースを給餌しない対照群ではこれらの遺伝子が著しく増加したのに対し、シルクロース投与群では、感染開始前の発現レベルにまで低下していた。これらの結果は、シルクロースの給餌により、これらの免疫関連因子の遺伝子発現の反応性が向上し、病原体感染後直ちにこれらの因子の遺伝子発現が誘導され、その結果として、感染を防御できたものと考えられた。(2)昨年度開発した、成長抑制および免疫活性抑制に作用すると考えられるカテコールをはじめとする炭化水素類を除去する方法により最適化したイエバエミールを魚粉に置き換えて作製した飼料により、マダイの飼育試験を行ったところ、全ての魚粉をイエバエミールに置き換えても、魚粉のみの飼料と同様の成長を再現することに成功した。(3)実際の養殖ブリおよびマダイに昆虫由来免疫賦活化物質を添加した飼料を1ヶ月間給餌して、養殖魚の状態を観察したところ、昨年示した飼育試験による結果と同様、昆虫由来免疫賦活化物質には飼育魚のストレスを低減する効果があるとともに、肉質および味にも付加価値を高める効果があることが明らかとなった。
著者
近藤 史崇 岩井 俊治 三浦 智恵美 坂田 潤弥 太田 史 井戸 篤史 入江 奨 岡松 一樹 角正 浩一 三浦 猛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.923-933, 2016
被引用文献数
7

<p> 養殖クロマグロに最適な飼料の開発を目指して,EP給餌と生餌給餌の体成長と消化関連因子の比較を行った。EP給餌のクロマグロの体成長は胃のペプシン活性が減少した後に一旦停滞したが,その後,幽門垂の肥大化に伴うプロテアーゼ活性の増加により生餌給餌と同程度に回復した。EPは生餌に比べて難消化であるため胃での滞留時間が長く,消化関連因子(<i>cck</i>, <i>pyy</i>)は生餌より遅れて発現した。成長関連因子(<i>ghrelin</i>)は餌の消化管内での移動に伴って発現が変動し,EP飼料では有意に増加する事が明らかとなった。</p>