著者
三浦 篤史 青木 芙美 桃井 宏樹 柳沢 国道 大井 敬子 大橋 正明 竹内 玲子 小林 由美子 佐々木 由美 大倉 輝明 跡部 治
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.719-725, 2009-01-30 (Released:2009-04-08)
参考文献数
6

佐久総合病院では,筋弛緩薬,カリウム製剤などはハイリスク薬として扱われているが,インスリンは事故防止のために標準化された対策がなされていない。今回我々は,多職種に渡ったチームを構成し医療改善運動を行なった。チームでは薬剤師が中心となり,Quality Control (QC) 手法を利用してインスリン投与の過誤を防止するための対策に取り組んだ。その結果,インスリン取り扱いに関するヒヤリ・ハットは減少した。薬剤に関したヒヤリ・ハット事例は多く,薬剤師のリスクマネジメントに果たす役割は大きいと考えられる。今後,薬剤師は積極的にリスクマネジメントに関わり,医薬品が関与する医療事故を未然に防止することが望まれる。そのことからも,QC手法を活用し,医療改善運動に取り組むことは効果的な活動と考えられた。
著者
三浦 篤史 篠原 佳祐 山本 亮 大塚 菜美 宮田 佳典 崎山 隼人
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.301-304, 2015 (Released:2015-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

舌がんでは,腫瘍増大による嚥下機能低下から流涎を招き,Quality of Life を低下させることがある.一般的に流涎の対応として,水分摂取量の減量,抗コリン薬の投与などが行われるが,充分に流涎を抑制できない場合がある.今回,ブチルスコポラミン臭化物の持続静注では流涎の改善が認められなかった舌がん患者に対して,院内製剤であるスコポラミン軟膏を耳介後部の乳様突起付近に貼付したところ流涎の緩和が認められた.有害事象としては口渇を認めたが,問題になるほどではなかった.また,局所の皮膚炎を生じることなく使用できた.スコポラミン軟膏は持続注射よりも簡便であり,舌がん患者の流涎対策の一つになり得る可能性が示唆された.