著者
神尾 享秀 三瓶 政一 笹岡 秀一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.11-18, 1994-01-25
被引用文献数
7

陸上移動通信において,高速伝送を行う場合には,マルチパスフェージングによる周波数選択性フェージングのため,伝送特性が著しく劣化する.このような場合の対策として判定帰還型等化器(DFE; Decision Feedback Equalizer)が研究されている.既に,QPSK / TDMAシステムにおいて,プリアンブルおよびポストアンブルのタップ係数を内挿する簡略化DFEを提案している.本論文では,周波数利用率の大きい16QAM / TDMAシステムへの適用について検討を行った.この場合,信号間距離の減少,判定誤りによる誤り伝搬により誤り率特性が劣化する.このため,逆方向等化での遅延波のタイミング検出機能を付加した両方向等化および逆数補間を用いて,タップ数を減少し,遅延波の存在しない場合および,遅延波の影響による軽減困難誤り特性を向上させたシステムを提案する.提案方式について,計算機シミュレーションにより検討を行った.また,演算量の従来方式との比較も行った.その結果,提案方式は,従来方式の1 / 10の演算量で,良好な等化特性を得られることがわかった.
著者
大槻 信也 三瓶 政一 森永 規彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.435-444, 1995-06-25
被引用文献数
34

16QAMに代表される多値QAM技術は,伝送帯域を拡大することなく高速伝送が実現でき,陸上移動体通信において非常に有効な技術である.しかしながら,フェージングによる受信レベルの落込みや遅延波の影響に弱く伝送品質の劣化が生じてしまうという問題がある.このような問題を解決するため本論文では,瞬時伝搬路状況に適応した変調多値数を用いる適応変調方式を提案している.提案方式ではTDMA/TDD方式に基づいた方法により伝搬路状況として瞬時のC/N_0および遅延広がりを推定し,伝搬路状況が良好な場合には256QAM等の変調多値数の大きな変調方式を用いることにより高速伝送を行う.また伝搬路状況が劣悪な場合には雑音,遅延波に対して強いQPSK等の変調多値数の小さな変調方式を用いることにより,従来の変調多値数固定の方式と比較して,伝送品質を劣化させることなく高速伝送を実現することが可能である.計算機シミュレーションにより,その伝送特性を評価した結果,提案方式はQPSK方式と比較して一様レイリーフェージング下においても,遅延波存在下においても,伝送品質を劣化させることなく高速伝送が実現できることがわかった.
著者
横枕 一成 三瓶 政一 原田 博司 森永 規彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.598, pp.25-30, 2005-01-20
参考文献数
11
被引用文献数
1

次世代移動通信システム(B3G : Beyond Third Generation)の候補として開発されているDPC-OF/TDMA(Dynamic Parameter Controlled-Orthogonal Frequency and Time Division Multiple Access)システムは, 伝送方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を採用しており, システム帯域全体を64サブキャリアからなる複数のサブチャネルブロックに分割し, 端末の規模やサービスに応じて複数のサブチャネルブロックを使用することで, 様々な種類の端末を同時に収容可能なシステムである.この場合, 下り回線においては, 基地局が送信する共通ハイロット信号から各端末が自律的に必要な帯域分の伝搬路特性を推定する方式が必要となる.そこで本検討では, DPC-OF/TDMAシステムの下り回線において, 使用するサブチャネルブロック数によらない伝搬路推定方式を提案する.提案方式では, インバルス性が高く, 各サブキャリアの位相を変化させることでインバルスの立つタイミングを容易に変更可能なCI(Carrier Interferometry)をベースとしたバイロット信号を用い, インバルス応答を推定する.各端末では, 各サブキャリアのタイミング制御用の位相を補償する際, 使用するサブチャネル数に応じて異なる位相量で補償することで, 必要な帯域分の伝搬路特性を推定する.提案方式を計算機シミュレーションにより評価した結果, 各サブキャリアの伝搬路特性を高精度に推定でき, 使用するサブチャネル数によらず端末が自律的に必要帯域の伝搬路特性を推定できることを確認した.
著者
原田 諭 宮本 伸一 三瓶 政一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.420, pp.7-12, 2006-12-07
被引用文献数
11

近年,カバレッジやノード配置の柔軟性の観点から,生起ノードから宛先ノードまでデータを伝送する際に他のノードを中継ノードとして利用するマルチホップ無線ネットワークが注目を集めている.マルチホップ無線ネットワークでは,ネットワークのトポロジーにより,ネットワークの一部に双方向のトラヒックが発生する.そして,双方向のトラヒックが発生した場所においては,特定のノードにトラヒックが集中し,そのノードがボトルネックとなってネットワーク全体としてみるとデータパケットの伝送が円滑に行なわれていない状況に陥る.そこで本稿では,ネットワークコーディングを適用することにより双方向のトラヒックを一括して伝送する手法を提案し,提案方式を用いた場合の伝送特性について検討を行なう.また,各リンクの利用可能な伝送速度が異なる場合においてはネットワークコーディングを適用した双方向トラヒックの一括伝送が必ずしもボトルネックの解消に対して有効な手法であるとは限らない.そこで,各リンクの利用可能な伝送速度が異なる場合においても効率的に双方向のトラヒックを中継可能とするアナログ変調信号多重化を提案し,BER(Bit Error Rate)特性からアナログ変調信号多重化の実現性について検討する.