著者
上原 貴夫
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.47-60, 1989-03-31
著者
小林 紀之 上原 貴夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3056-3063, 2002-10-15
被引用文献数
5

ブリッジは,他のプレイヤーのハンドが見えない不完全情報ゲームであるため,チェス,将棋などの完全情報ゲームとは異なる難しさがある.最近のコンピュータブリッジでは,モンテカルロシミュレーションを基本としたアルゴリズムが主流である.すなわち,見えていないカードの可能な配置(世界)を多数生成し,各世界でダブルダミーブリッジ(すべてのハンドを見て完全情報ゲームとしてプレイをする)として,ゲーム木におけるミニマックス値を求め,次に出すカードを選ぶ.現在,コンピュータブリッジの実力は中級者レベルにとどまっている.その原因の1つは,このアルゴリズムが,見えている自分Pのハンドと矛盾しない世界のみを対象としている点にある.本論文では,上級者のプレイテクニックの1つとして知られるディセプティブプレイを発見するアルゴリズムを提案する.敵を騙すプレイを可能にするためには,出されたカードを観察した敵がどのようなハンドを想定するかをモデル化する必要がある.著者らは,経験則に基づいて推論を行うエージェントAを敵のモデルとし,敵から見た世界を生成した.この世界は多くの場合,自分Pのハンドと矛盾する.ディセプティブプレイを発見する方法として,敵Aから見た世界では敵に有利であり,かつ,自分Pから見た世界では自分に有利なプレイを探索することを提案した.このアルゴリズムを実装して,典型的な例題でその機能を確認した.The Contract Bridge is an incomplete information game,that is, a player cannot look at the other player's hands.Its difficulty is different from that of complete information games such as Chess and Shogi.The Monte Carlo simulation is the most popular technique for modern Computer Bridges.Many random deals (worlds) are generated.The best card to play is selected according to minimax value of a complete information game-tree search as the double dummy Bridge in each world.Computer Bridges have never win the game against top players.It is partially because the algorithm does not generate a deal inconsistent with the hand of the player P.This paper proposes an algorithm to find a deceptive play that is one of the techniques used by top players.An opponent is modeled as an agent A who guesses P's hand by rule-based knowledge.Worlds generated by A may be inconsistent with the P's hand.The proposed algorithm finds a play line that is the best for opponent in the worlds generated by A and also good enough for P in the worlds generated by P.The algorithm is implemented and tested for some typical examples.
著者
安藤 剛寿 関谷 好之 上原 貴夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06
被引用文献数
1

各プレイヤは, 自分のハンドの他に, パートナのハンドのイメージと, パートナから見た自分のハンドのイメージを持つ. 私はつぎのビッドを決めるために, パートナのビッドを観察して, アブダクションによりパートナのハンドのイメージ (ビッドをした理由を説明できる仮説) を作る. ところが, パートナのビッドが, 彼女の持つ私のハンドのイメージによって決定されたものならば, 彼女が私のビッドからアブダクションによって作った私自身のハンドのイメージについても知る必要がある. さらに, 彼女の持つ私のイメージにも私が持った彼女自身のイメージが含まれる. このように, 各プレイヤはビッドのシーケンスを逆に辿って再帰的にアブダクションを行い, 観察したビッドのシーケンスを説明できるハンドのイメージを得ると考え, これをビッドを行うプレーヤのモデルの基本とした. このプレーヤがオークションにおいてパートナと協力して良いコントラクトに到達するかどうかは, ニ人の用いるビディングシステムによって左右される. 本研究では, よく知られたChales Gorenの本にあるビディングテーブルに従っている. しかし, このテーブルは最初の3つのビッド (オープニング, レスポンス, リビッド) しか決められないので, その後のビッドは常識的な判断に従うようにした. 例えば, 自分のハンドの点とパートナーのハンドのイメージにおける点の最小値を合計して24点以上, 31点以下ならばゲーム (4ハート, 4スペード, 3ノートランプ) をビッドする.
著者
小林 紀之 山下 桂治 上原 貴夫
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.58(2001-GI-006), pp.59-66, 2001-06-07

ブリッジのエキスパートは,難しい場合は楽観的に考えて大胆にプレイし,易しい場合は悲観的に考え安全にプレイをするよう教えている.現在のコンピュータブリッジには,問題の難易に従って,プレイのモードを切替える機能はない.本論文では,マルチモードプレイの実装方法を提案する.
著者
安藤 剛寿 関谷 好之 上原 貴夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13
被引用文献数
1

ブリッジは不完全情報ゲームであり, 他人のハンドが見えないことがプレーを難しくしている. 他人のハンドを見て行うプレー (ダブルダミーとよばれる) は, 完全情報ゲームとなるので, 比較的扱いやすくなる. そこで, 見えない他人のハンドを (既知の制約条件のもとで) ランダムに生成し, それを見てダブルダミーでプレーする方法が提案されている. これは, 他人のハンドを覗いたわけではないのでフェアプレーである. 我々は, ゲームの進行中に観察した事実から, アブダクションと仮説推論により他人のハンドを推論す方法について別に報告した. ここでは, この推論によって得た制約条件のもとで, ハンドをランダムに生成する方法を提案する. このハンド生成プログラムは, 我々が開発中のコンピュータブリッジのプレーで繰返し使われる.
著者
安藤 剛寿 関谷 好之 上原 貴夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.2366-2375, 1998-10-25
被引用文献数
11

上級者と対等に勝負ができるコンピュータブリッジを開発するには, 不完全情報ゲームに特有なさまざまな課題を解決する必要がある.我々は, これに挑戦することにより新しい問題解決手法の研究を進めている.ブリッジにおけるオークションの過程では, 限られたビッドを通してパートナと情報を交換しつつ, 互いに協力して良いコントラクトに到達する努力がなされる.本論文では, 従来のプログラムより人間的(柔軟)なビッドができることを目指して立案した枠組みについて報告する.まず, ビッドにおけるパートナシップを共通の知識と仮説推論機構をもつ二つのエージェント間のコミュニケーションとしてモデル化した.その知識は専門知識と常識に分け, 前者から外れた相手のビッドに対しても, 後者を用いて対応できるようにした.また, パートナのハンドを推論する際には, パートナがこちらのハンドについてどのようなイメージをもっているかも推論し, より妥当な仮説の生成に努めた.その結果, 相手に応じた柔軟なビッドをするプログラムをつくることができた.