著者
井藤 彰 上平 正道
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.82-88, 2015-01-20 (Released:2016-01-20)
参考文献数
32

標的細胞を磁気標識することによって,磁力による細胞の遠隔操作が可能となる.筆者らは,磁性ナノ粒子の表面をさまざまなバイオマテリアルで修飾した機能性磁性ナノ粒子を作製し,これらの機能性磁性ナノ粒子で標的細胞を磁気標識して磁気操作によるティッシュエンジニアリング技術として用いるMag-TE(Magnetic force-based tissue engineering)法の開発を行っている.これまでこの技術を用いてさまざまな細胞を使った三次元組織の構築を行ってきた.本稿では,骨格筋組織の作製を中心に解説する.
著者
上平 正道
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、申請者が開発した遺伝子導入用のカチオニックリピッドベシクルからなる人工遺伝子キャリヤーに対し遺伝子導入効率の向上のために、(1)導入するDNAの保護のためのDNA側のDNA結合性タンパク質による処理、(2)細胞指向性をもたせるためのリピッドベシクルへのリガンドの導入、および(3)ゲノムへの目的遺伝子の組込み機能を付与するためのレトロウイルスインデグラーゼの導入について検討した。まず、導入したDNAの細胞内での分解を抑制し、核への移行を促進する機能を付与するために、安全性が確認されており、DNAと複合体を形成することが知られているプロタミンを遺伝子導入の際に加えることを検討したところ、用いた全ての細胞株およびプラスミドで、プロタミンの添加による遺伝子導入効率および発現量の向上が認められ、最大20倍以上の導入効率および発現量の増大が達成できた。つぎに、組織や細胞への指向性を増すために、細胞表面レセプターと結合するリガンドのリピッドベシクルへの導入を検討し、ターゲットとする細胞で3〜4倍の遺伝子導入効率の増大を達成できた。さらに、本研究の遺伝子キャリヤーリピッドベシクルに対象細胞のゲノムへの組込能を付与するため、レトロウイルスの宿主ゲノム組込みにおいて中心的な役割を担っているインテグラーゼの発現ベクターを作製し、インテグラーゼの認識配列であるLTR領域を部分的に組み込んだ目的遺伝子とともにCHO細胞に遺伝子導入したところ、ゲノムへの組込み効率を十数倍向上させることができた。
著者
上平 正道 河邉 佳典
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

申請者らが開発したトランスジェニック鳥類作製技術をベースにして、ニワトリなどの家禽鳥類をタンパク性医薬品などのバイオロジクス生産のための生体バイオリアクターとして使用するために、(1)生産物を安定して大量に発現するための卵白特異的発現システムの開発、(2)生産物が糖タンパク質である場合に付加糖鎖の制御、(3)鳥類での生産に適したバイオロジクス生産、について検討を行った。