著者
上田 遥
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.129-137, 2023-06-01 (Released:2023-07-12)
参考文献数
27

【目的】2022年に施行された「食農教育法」下における台湾の食育政策を明らかにする。【方法】WEB入手可能文献(主に政策文書)をもとに同法の背景・体系を分析する。【結果】台湾の食農教育法は,中央レベルでの推進委員会の組織,中央・地方の両レベルでの基本計画策定,食育に関する専門職業の養成,政府・食農産業・学校・地域社会の連携による全国運動としての食育推進という点で,基本的には日本の食育基本法と内容が共通している。しかし,農業の重視,家族・ジェンダーへの配慮,食文化の多様性と開放性など,いくつかの点で日本の課題を克服しうるものであった。【結論】日本や韓国から遅れをとったものの,台湾の食農教育法から学ぶべきことは多い。ただし同法における「食為先,農為本」の思想がどの程度現場で実践されるかについては,さらなる検証が必要である。
著者
成瀬 九美 上田 遥菜
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
巻号頁・発行日
vol.71, 2021

<p>身体部位写真によるメンタルローテーション(以下MR)では生体力学的制限(biomechanical constrain)を受けて運動制約の高い提示角度で反応時間(以下RT)が延長する。報告者らは手足写真(手掌・手背・足底・足背)を6角度(0、 60、 120、 180、 240、 300度)で提示する実験を行い、手掌写真のRTに制限による遅延が認められたのに対して、手背写真のRTは180度が最も遅く、この角度を頂点とする左右対称となった(上田・成瀬、2019)。この特徴は文字刺激を用いた場合と同様であり。部位表裏を用いたMRから視覚的イメージの使用など個人傾向を把握できる可能性がある。しかしながら、従来、MRはRTを指標とする場合が多く測定機器が必要となるため集団実施が難しい。本研究では、刺激画像の提示時間を一律にして左右同定の確信度を求め、100mmアナログスケールによる回答に上記の左右対称(手背)/非対称性(手掌)が現れるかを検証した。1000msと1500msの2種類の提示時間を用いて、待機画面(2000ms)→刺激画面(1000または1500ms)→回答画面(5000ms)で1試行を構成し、部位(手掌・手背)×左・右×6角度×2回の合計48試行を実施した。1000mm提示条件に43名、1500㎜提示条件に41名の大学生が参加した。二元配置分散分析の結果、提示時間1000mmの場合、交互作用が有意であり、下位検定の結果、手背180度と他の5角度との間に、手掌180度と60度との間に有意差がそれぞれ認められた。提示時間1500mmの場合、角度と部位の主効果が有意であり、下位検定の結果、180度と0度、60度、300度との間に有意差が認められ、手背の確信度は手掌より有意に高かった。以上の結果から、提示時間1000mmの場合に左右対称(手背)/非対称性(手掌)が明瞭に得られた。</p>
著者
上田 遥
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.128-143, 2019 (Released:2020-01-18)
参考文献数
86
被引用文献数
1 1

An interdisciplinary literature review was conducted to articulate the achievements and challenges of food education research. The eligible articles (n=325), which included the keyword, “shokuiku” (food education in Japanese), were identified from the e-databases. First, its disciplinary distribution was delineated, demonstrating the relative dominancy of home-economics and medical sciences over other social sciences and humanities. Second, the research trend in agricultural economics was particularly investigated, and its achievements were articulated around three research themes (concepts and definitions, promotion systems and impact evaluation). However, several challenges were left unresolved, particularly the nutritionistic, neo-liberal, nationalistic and gendered ideologies internalized in the current food education. Third, the relevant disciplines were explored, identifying several useful theoretical discussions in social sciences and humanities for the abovementioned challenges, while also confirming that these problems were not fully addressed in the most dominant home-economics. This review could inform a future “inter-disciplinary” discussion on food education.