著者
合志 聡 吉田 悠紀 佐藤 毅昂 禿 晃仁 鈴木 庸弘 佐藤 知巳
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.731-737, 2018 (Released:2018-06-20)
参考文献数
24

内科領域における脂肪乳剤の使用については末梢静脈栄養施行の段階より併用すべきものである。末梢静脈栄養の対象は消化管機能を有していない内科疾患であるが、これらの患者には入院時より必要エネルギーを充足させる必要があることから、脂肪乳剤を併用することでそれに近づけることが可能になる。また脂肪乳剤の併用は必要エネルギー充足の観点のみならず、NPC/N比の考え方からも効率よいエネルギー代謝、タンパク質合成において重要なことである。一方で脂肪乳剤の投与にはいくつかの注意点が存在するが、病態を見極めることで使用可能な症例は数多くいる。我々は総投与エネルギーの約60%を脂肪乳剤で投与しても1週間程度であれば脂質代謝に大きな変化を来すことなく、安全に投与できることを示しており、0.1g/kg/時の投与速度を厳守することが重要である。しかしながら、その投与速度も今後のさらなる検討によって連日投与での推移、安全性の検証ができれば、変更できる可能性も示唆されている。
著者
中村 篤志 朝倉 均 吉村 翼 出口 愛美 細川 悠栄 染矢 剛 佐藤 知巳 市川 武 奥山 啓二 吉岡 政洋
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.552-563, 2020
被引用文献数
1

<p>肝硬変(LC)は多様な免疫異常を呈し,リンパ球減少が特徴となる.</p><p>近年,LCの免疫不全と惹起される感染症・炎症はcirrhosis-associated immune dysfunction(CAID)と呼ばれ,肝病態の悪化との関連から注目されている.我々はLCの総リンパ球数(total lymphocyte counts,以下TLC)を調査し,さらにTLCと白血球の好中球分画を基にCAIDのステージ分類を作成した.LCでは早期からTLCが減少し,多変量解析で白血球数,脾腫,肝細胞癌,好中球増多がTLC減少に寄与する因子であった.またTLCはLCの独立した予後因子となり,CAID分類はLCの生存率を有意に層別化し得た.LCの免疫不全は炎症の誘因としてCAIDによる肝病態悪化に寄与する可能性があり,hemogramによるCAID分類の有用性が示された.</p>
著者
中村 篤志 吉村 翼 出口 愛美 細川 悠栄 染矢 剛 佐藤 知巳 市川 武 奥山 啓二 吉岡 政洋 朝倉 均
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.552-563, 2020-11-01 (Released:2020-11-09)
参考文献数
42
被引用文献数
1

肝硬変(LC)は多様な免疫異常を呈し,リンパ球減少が特徴となる.近年,LCの免疫不全と惹起される感染症・炎症はcirrhosis-associated immune dysfunction(CAID)と呼ばれ,肝病態の悪化との関連から注目されている.我々はLCの総リンパ球数(total lymphocyte counts,以下TLC)を調査し,さらにTLCと白血球の好中球分画を基にCAIDのステージ分類を作成した.LCでは早期からTLCが減少し,多変量解析で白血球数,脾腫,肝細胞癌,好中球増多がTLC減少に寄与する因子であった.またTLCはLCの独立した予後因子となり,CAID分類はLCの生存率を有意に層別化し得た.LCの免疫不全は炎症の誘因としてCAIDによる肝病態悪化に寄与する可能性があり,hemogramによるCAID分類の有用性が示された.
著者
朝倉 利光 村崎 恭子 OTAINA Galin RAMSEY Rober REFSING Kirs DE GRAAF Tje AUSUTERLITZ ロバート 佐藤 知巳 井上 紘一 中川 裕 池上 二良 村崎 恭子 AUSTERLITZ R 朝倉 利光 切替 英雄
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

戦前までサハリンで健在だった少数民族,サハリンアイヌ,ウイルタ,ニブフの人々の多くは,終戦後は北海道に移住したが,現在はその言語の土着話者は絶えつつある。一方,ロシアサハリン州においては現在もこれら少数民族の人々が一部健在と聞く。本研究は,世界に数少ないこれらの言語の専門家が北海道に集まって日本側研究班を構成し,ロシア側研究者と共同して,サハリンに住む少数民族の言語-アイヌ語,ウイルタ語,ニブフ語-の土着話者を尋ね,これら三言語の音声資料を採集,収集し,その言語事情を言語学的に明らかにすることを目的とする。初年度,1990年の夏のサハリン現地調査によって,サハリンにおける当該少数民族の言語,アイヌ語,ニブフ語,ウイルタ語の言語状況が明らかになった。即ち,アイヌ語の話者はすでに絶えているが,ニブフ語は約2千人,ただし伝統口承文芸の伝承者は10人以下,ウイルタ語は2百人程度の話者がいて,そこでは言語調査の可能性が十分にあることがわかった。平成3年度は以下のような,研究調査を行った。1991.8.14-9.7 ニューヨークからアウステルリッツ氏がニブフ語調査研究のために来日。前年度収集した資料の整理分析を行った後.オタイナ氏と一緒にニブフ語テキストをチェック。1991.9.1-9.17 ウラジオストックからオタイナ氏がニブフ語調査研究のために来日。アウステルリッツ氏とニブフ語テキストをチェックおよび資料整理分析。1991.8.10-9.15 池上,井上,中川,佐藤の4名がサハリンでウイルタ語,ニブフ語などの少数民族の言語の調査を行った。1991.10.28-11.9 村崎,朝倉,井上がユジノサハリンスクへ向い,ピウスツキ生誕125周年記念シンポジウムに出席,発表し,アイヌコタン跡の調査を行った。1991。10。13-11。13 オランダのクローニンゲンからデグラーフ氏が少数民族の言語音声資料の調査のためにレニングラード,ノボシビルスクを訪れ,その後,サハリンでのシンポジウムに参加,発表を行った。その結果は,村崎恭子編「サハリンとB.ピウスツキ」(ピウスツキをめぐる北方の旅実行委員会,1992年3月)として刊行した。最終年度1992年には以下のような調査,研究を行った。1992.7月-8月 池上,井上の2名が,サハリンでウイルタ語の特定調査を行った。1992。9月から1993。3月までは,これまで収集した資料をそれぞれ,整理,分析し,最終研究成果報告書刊行の準備にかかった。その結果.1993年3月末日までには,研究成果報告書『サハリンの少数民族』(284頁)が刊行される見込である。この研究成果報告書に掲載される論文の殆どは各研究分担者が,この研究プロジェクトでえられた結果執筆したオリジナル論文であることは,まだ殆ど手が付けられていない「サハリンにおける少数民族の言語研究」という分野において,極めて貴重な研究成果と言える。以下に,掲載論文のリストを掲げる。1。研究概要ABSTRACT OF PROJECT 村崎恭子2。THE ETHNO LINGUISTIC SITUATION ON THE ISLAND OF SAKHALINTjeerd de Graaf3。A PELIMINARY REPORT ON SAKHALIN KOREAN S.Robert Ramsey4。A BRIEF HISTORY OF THE STUDY OF THE UILTA LANGUAGEJiro Ikegami5。ウイルタ語テキスト 池上二良6。UILTA AND THEIR REINDEER HERDING Koichi Inoue7。BEROBANIYA I ObRYADI ULiTA C.B.bEREZNITSKII(ウイルタの信仰と儀礼)8。NIVKH FOLKLORE G.A.OTAINA9。ANIMAL TAXONOMY AND SAMPLE ANALYSES(INSECTS) R.AUSTERLITZ10.サハリンにおけるニヴフ語基礎語彙の地域差 中川裕.佐藤知巳.斎藤君子11。N.B.RUDANOBSKI'S AINU DICTIONARY B.M.LATISHEB