- 著者
-
神田 浩
上田 雅俊
今井 久夫
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
- 雑誌
- 日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.4, pp.443-455, 1997-12-28 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 23
加圧回転式ブラッシングの代表的方法あるローリング法における歯ブラシ線維の損耗が, ブラッシング時の歯みがき圧およびプラークの除去効果にどのような影響を及ぼすかをin vivoおよびin vitroの両面から検討した。すなわち, in vivo実験では, ローリング法を被験者に行わせ, 歯ブラシ線維の損耗と歯みがき圧との関連性について経週的に観察を行った。その結果, 頻回使用により, 歯ブラシが損耗する (歯ブラシ線維先端の位置の変化, 形態学的変化ならびに歯ブラシ線維の硬度試験) と歯みがき圧が増加することが確認できた。また, in vitro実験では, 独自に考案したin vivoにおけるローリング法と同じ動作が可能なブラッシングマシンを使用し, 歯ブラシの損耗が実験的プラーク除去効果にどのような影響を及ぼすかについて客観的に評価した。その結果, 歯ブラシが損耗する (歯ブラシ線維の硬化の低下) と, 実験的プラークの除去効果 (実験的プラークのscratching areaの面積%, 実験的プラークをほどこしたmetallic plateの重量差) が低下する傾向が確認できた。これらの結果から, 歯ブラシの形態変化のみならず, プラーク除去効果の面からも, ローリング法用歯ブラシの使用限界は, 使用圧の大小にかかわらず, 3から4週程度と考えられ, 主観的判断によりとらえられていたことが, より客観的に評価できたといえる。