著者
新井 剛 上野 智永 梶屋 貴史 石川 朝之 武田 邦彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.380-386, 2007 (Released:2007-10-01)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

ポリアミド 66(PA66)に塩化第二銅・二水和物を微量添加して,耐熱性の変化を観測するとともに高分子構造についての研究を行った.その結果,銅を 35 ppm 以上添加すると熱安定性に変化が見られたが,濃度と安定性には強い比例関係は見られなかった.分子量は銅を添加しても低下するが,その程度は小さかった.吸水性は銅の添加によって増大した.赤外分光分析と NMR の測定では構造的に変化が見られた.熱を加えることによって主鎖の開裂が見られ,開裂の程度は銅によって抑制される.銅が親水性基を有する PA66 中に均一に分散したとして,銅 1 原子が占有する体積に銅原子が半分拡散する時間が 2~200 μs 程度と短いことによる,アミド結合周辺の安定化効果と高分子鎖全体に及ぼす立体構造の変化が原因の一つになっていると考えられる.
著者
中島 江梨香 上野 智永 市野 良一 武田 邦彦
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.159-168, 2014-04-25 (Released:2014-04-25)
参考文献数
34
被引用文献数
2

高分子材料の欠点である燃焼性を克服するために,高分子材料の熱分解と燃焼性について研究を行ってきた.高分子化合物の熱分解は,主鎖のランダムな分解,あるいは高分子鎖の末端で三量体などの化合物を生成する場合,解重合が起きる場合がある.本報では,ランダム開裂とともに末端の特定部位からの開裂が同時に起こる,ポリプロピレンとポリスチレンについて熱分解と燃焼性の関係性を研究した.熱分解生成物ばかりではなく,高分子材料の分子量が大きな影響を与えることを見いだした.分子量の違いによって燃焼状態が異なり,分子量の高い試料と低い試料では熱分解後の分子量分布の変化が異なること,特定の燃焼条件下ではある特定の分子量において燃焼しないということが明らかになった.ポリオレフィン類およびポリスチレンのように社会で大量に使用されているプラスチックにおいて,構造的に燃焼しないものが発見されたことは今後安心安全な社会の進展に大きく寄与する.