著者
中川 尊雄 亀井 靖高 上野 秀剛 門田 暁人 鵜林 尚靖 松本 健一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.2_78-2_89, 2016-04-22 (Released:2016-06-22)

本論文は,NIRS (Near Infra-Red Spectroscopy; 近赤外分光法)による脳血流計測を用い,開発者がプログラム理解時に困難を感じているかの判別を試みた我々の先行研究(レター論文)を発展させたものである.本論文では,20名の被験者に対して,難易度の異なる三種類のプログラムの理解時の脳血流を計測する実験を行った.実験が中断された3名を除く17名中16名において,(1)難易度の高いプログラムの理解時に脳活動がより活発化するという結果(正確二項検定, p < 0.01)が得られた.また,(2)被験者アンケートによって得られた難易度の主観的評価と,脳活動値の間には有意な相関(スピアマンの順位相関係数 = 0.46, p < 0.01)がみられた.
著者
木浦 幹雄 大平 雅雄 上野秀剛 松本 健一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.204-215, 2010-01-15

本論文は,動的なインタフェースを持つWebサイトにおけるユーザ行動の把握を支援するシステムWebjigを提案するものである.従来システムは,Webブラウザに表示される内容に着目しないため,動的に変化するWebサイトにおけるユーザ行動の把握が難しいという問題があった.本論文で提案するWebjigは,WebサイトのDOM(Document Object Model)を解析することで,Webブラウザに表示されている内容の動的な変化を記録・可視化することができる.実務経験者を被験者とした実験の結果,従来システムでは発見できなかったWebサイトの問題点を発見することができた.In this paper, we propose a recording/visualization system of user behaviors on a dynamic Web site for usability evaluation. Several existing systems only record histories of user's operations without output displayed on a Web browser. Hence, understanding of user's behavior in a dynamic Web site is quite difficult. Our system called Webjig records sequential changes of browser output by analyzing DOM (Document Object Model) used in aWeb site. Using three subjects with over 5 years industrial experience of Web site development, we experimentally evaluated the effectiveness of the Webjig. As a result, we have observed that developers could found usability issues from user behaviors recorded by Webjig.
著者
吉岡 春彦 上野 秀剛
出版者
一般社団法人 日本ソフトウェア科学会 ソフトウェア工学の基礎研究会
雑誌
ソフトウェア工学の基礎ワークショップ論文集 第29回ソフトウェア工学の基礎ワークショップ(FOSE2022) (ISSN:2436634X)
巻号頁・発行日
pp.34-42, 2022-11-10 (Released:2023-05-18)

ソフトウェア開発者がソースコードを理解する過程を明らかに することは,開発作業や学習の効果・効率を改善するために重要な研究で ある.これまでに多数の研究が効率的な読み方を分析するために,ソース コードに対する開発者の視線移動を計測している.効率的に読む方法を 理解するために,研究者はディスプレイの座標として記録された視線移 動の情報からソースコードのどこを読んでいるか対応づける必要がある. しかし,エディタ上でのスクロールやウィンドウの移動などのためディス プレイ上の座標をソースコード上の単語と対応づけることは難しい.ま た,異なるソースコードに対する同じ意味の理解行動を抽出するために は,制御フローやフォーマット,識別子の違いを考慮する必要があるため 分析には時間がかかる.本論文では,視線移動をディスプレイ上の座標 から,注視した単語と対応する構文情報に変換する手法を提案する.
著者
幾谷 吉晴 上野 秀剛
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_84-3_90, 2015-07-24 (Released:2015-09-24)

本論文ではNIRSを用いてプログラム理解における1)数値計算,2)変数の記憶,3)条件分岐の判断が脳活動へ及ぼす影響を調査する.20人の被験者に3種類のコード片を理解する課題と,3段階の難易度の暗算を行う課題を与え,前頭極を計測する実験を行う.実験の結果,暗算の難易度によって脳活動に差が見られない一方で,変数の記憶を必要とする課題において有意に高い脳活動が見られた.結果はNIRSを用いた脳活動計測によりプログラム理解における記憶への負荷を評価できる可能性を示している.
著者
吉村 巧朗 亀井 靖高 上野 秀剛 門田 暁人 松本 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.307, pp.85-90, 2009-11-19
被引用文献数
1

デバッグ作業は,作業に従事する開発者ごとに効率に大きな違いが見られる.デバッグにおける開発者の行動から効率に影響を与えている要因を明らかにできれば,教育や支援に役立てることができる.そこで本研究では、デバッガを使用したデバッグ行動について分析し,上手な人と下手な人の間にどのような差異が存在するのか明らかにすることを目的とした.そのアプローチとして,多くのデバッガが実装しているブレークポイント機能に着目し,その使用履歴よりプログラマの特徴を分析した.150行程度のJavaプログラムを題材とした実験の結果,次のような知見が得られた.デバッグの下手な人は,連続した行にブレークポイントを設置する傾向がある.また上手い人には,ブレークポイントを用いた実行を頻繁に行う傾向がある.