- 著者
-
下坂 剛
小塩 真司
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.2, pp.102-112, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)
- 参考文献数
- 37
本研究の目的は,就学前の子どもの年齢で分けた3群(第1子が1歳,3歳,5歳)において,父親における妻へのサポートが育児関与を介して主観的幸福感を説明している程度を検討することである。600人の父親を対象にインターネット調査を実施した。3群における各尺度の測定不変性の検討が行われた。その上で,3群の多母集団同時分析により,「妻へのサポート」から「しつけ」と「家事」には有意なパスが示されたが,「しつけ」と「家事」から「主観的幸福感」には有意なパスは示されなかった。また,3歳児の子をもつ父親において他の2群に比べて,「妻へのサポート」から「心理的ケア」により強いパス,「心理的ケア」から「主観的幸福感」により強いパスがそれぞれ示された。子どもの発達に伴って,父親の育児関与の様相は変化し,3歳頃の子どもとの心理的ケアによる関わりが,父親自身の主観的幸福感を高めるという有益な知見が得られた。