著者
下西 風澄 井庭 崇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.235-238, 2007-12-20

本論文の目的は,非線形関数の可視化における新しい表現手法を提案することである.提案手法では,関数の値を角度に変換して描画することで,その軌道を平面的な描画パターンとして視覚的に捉えることができるようになる.本論文で取り上げるロジスティック方程式では,周期領域とカオス領域には明らかな違いが観察され,その中間領域には周期とカオスが入り混じるパターンが観察された.この新たな表現手法は,カオスの複雑な軌道を,より視覚的・感覚的に捉えることができる方法として,可能性を秘めていると思われる.
著者
下西 風澄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2R5OS28a04, 2023 (Released:2023-07-10)

近年の認知科学を巡る哲学研究の潮流は、意識の身体性や環境との相互作用に着目している。神経生物学者のフランシスコ・ヴァレラはこうした認知哲学を「身体化された心」と呼び、認知が単なる記号的な情報処理として普遍的に機能するのではなく、それぞれの個別の歴史性を有した身体や、その有機体が行為する状況に深く依存してはじめて捉えることができるという観点に注目した。こうした認知の身体性を広く解釈すれば、認知とは、それを行う認知主体の身体的な習慣、使用する言語、活動する生態環境などの総合的な環境のなかで捉えるべき対象となる。別の言い方をすれば、意識はいわば「文明と共進化」する視座のなかから理解すべき現象でもある。 筆者は『生成と消滅の精神史』(文藝春秋、2022)にて、この「文明と共進化する意識」という観点から、古代・近世・現代の西洋における意識、夏目漱石の文学において描かれた意識を対象に論じたが、本発表では、漱石の作品における意識の描かれ方とその理論における捉え方を比較し、日本における意識の捉え方を考察する。