著者
中原 一有 立石 敬介
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.2217-2230, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
32

急性胆囊炎に対する胆囊ドレナージ法には,経皮経肝ドレナージ,内視鏡的経乳頭ドレナージ(endoscopic transpapillary gallbladder drainage:ETGBD),超音波内視鏡下経消化管ドレナージがある.ETGBDは生理的ルートを介した非観血(非穿刺)手技であるため,抗血栓薬内服などの出血傾向例や腹水症例に対しても施行可能である.しかし,胆囊管を通じた手技は難易度が高く,手技成功率が低いことが課題である.ETGBDを安全に成功させるためには,ETGBDの基本手技を習得し,さらには手技困難例への対応策を身につけておくことが重要である.
著者
中原 一有 片倉 芳樹 奥瀬 千晃 足立 清太郎 中津 智子 高木 麗 伊東 文生
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.107-112, 2011 (Released:2011-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

要旨:症例は62歳,63歳,72歳の男性.原疾患は胆管結石2例,慢性膵炎1例といずれも良性疾患の正常胃症例で,ERCP時にスコープによる十二指腸穿孔をきたした.穿孔部位は下行脚が2例,上十二指腸角が1例で,穿孔方向は後腹膜が2例,腹腔内が1例であった.原因はいずれもスコープのストレッチ操作によるものであった.術者はいずれもERCP経験が40件未満であった.2例は穿孔後早期に腹部症状の増悪と腹膜刺激症状の出現を認め外科手術を要したが,後腹膜穿孔の1例は腹部症状が軽微で保存的加療のみで改善した.なお全例軽快退院した.ERCP時のスコープのストレッチ操作で十二指腸穿孔を来す恐れがあり,特に腹腔内穿孔や腹部症状が増悪傾向を示す場合は早急な外科手術による対応を要する.一方,身体所見や血液検査の炎症所見に乏しい後腹膜穿孔では保存的加療のみで改善が得られる場合がある.