著者
Wibowo Tansri 河本 恵介 山口 勇太 石田 裕 吉峰 由子 真鍋 侑資 原 侑紀 矢賀 元 中原 英子 比嘉 慎二 前田 恵治 緒方 篤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.114-120, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
11

症例は75歳男性.血球減少・腎機能悪化・発熱・炎症反応高値に加え,抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性,抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体陽性より膠原病が疑われたが心エコーにて僧帽弁に疣腫形成を認めたため,血液培養陰性であったが感染性心内膜炎(IE)として抗生剤を開始した.抗生剤に対する反応が十分ではなかったが,Bartonella属抗体の有意な上昇を認めたことが適切な抗生剤の選択につながった1例を経験したので報告する.
著者
房間 美恵 中原 英子 金子 祐子 竹内 勤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.181-187, 2019-09-30 (Released:2019-11-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

2010年にTreat to Target(T2T)(目標達成に向けた治療)リコメンデーションが提唱され,この概念は日本でも,全国的な普及活動によりリウマチ診療に従事する医療者に浸透してきた.この中のoverarching principles(基本的な考え方)で最初に述べられているのが医師と患者との「shared decision making(共同意思決定)」であるが,患者が自身の病気や治療を理解し,共同意思決定プロセスに参画するためには患者教育が必須である. 2015年にEULARから,2つの基本的な考え方と8つの推奨事項からなる炎症性関節炎患者に対する患者教育のリコメンデーションが提唱された.基本的な考え方の中では,患者教育は医療者と患者が双方向で行うべきであること,患者自身が病気と付き合いながら生活を自己管理できるように支援すること,そしてこれら実現のために医療者は患者と十分コミュニケーションを取りながら共同意思決定を行うことが必要不可欠であることが示されている.患者教育とT2T実践,共同意思決定は密接に関連しあう.患者教育をすべての炎症性関節炎患者の標準治療の一部として実施できるよう,その課題を評価し,より良い教育支援に向けて多職種協働で取り組むことが重要である.