著者
鈴野 弘子 石田 裕
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.161-169, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
24

牛肉,鶏肉,じゃがいもを硬度の異なる水で水煮して,煮汁のミネラル成分含有量,破断強度測定,組織構造の観察,官能評価を行い,水の硬度が煮込み料理に及ぼす影響を調べた。硬水で牛肉,鶏肉,じゃがいもを水煮したところ,水中のCa,Mgがこれらに吸着した。KとNaは,軟水より硬水で多く溶出した。破断強度値は,牛肉ではエビアンを用いて120分水煮したものが有意に小さく,じゃがいもは硬水ほど大きくなった。エビアンで水煮した牛肉は,筋内膜および筋周膜と,筋線維束の分離が顕著であった。じゃがいもは,硬水で水煮するとでん粉の糊化が抑制され,細胞同士が凝集した組織構造になった。エビアンで水煮すると,肉はやわらかくなり,じゃがいもは軟水より硬くなったことから煮崩れが防げると推測でき,肉や野菜も食する煮込み料理には,ある程度(硬度300程度)の硬度の水が適することが示された。
著者
浦部 美佐子 石川 俊之 片野 泉 石田 裕子 野崎 健太郎 吉冨 友恭
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.1-18, 2018-01-31 (Released:2019-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1

水質指標生物の教育効果を調べるため,7つの大学で学生アンケートを実施した。高校までに指標生物による水質調査を行ったことのある学生は1~2割程度であった。指標生物は,現行課程では中学理科第二分野,旧課程(~2011)では高校基礎生物の教科書で扱われることが多かったが,調査を行ったことのある学生の7~8割は小学校で履修しており、テキストとしては自治体等が作成した副読本の役割が大きいと考えられた。水質指標生物の学習によって水質に対する正しい科学的理解を得た学生は少なく,その原因として小学校では履修学年が早すぎることと,指標生物に内在する論理的不備の問題が考えられた。「川の水を綺麗にするために有効なこと」を選択する問いでは,美化体験の有無によって選択内容はあまり変化しなかった。指標生物の学習体験の有無では、調査年により「無りん洗剤を使う」「水草を植える」「EM菌を撒く」の項目が増加し,その中には疑似科学であるものも含まれていた。以上の結果から,指標生物の学習は自然に親しみ,環境への興味を喚起するには有効であるが,水質の科学的な理解にはほとんど結びついていないことが明らかになった。以上を踏まえ,学校教育において指標生物を利用する場合に改善すべき点として,(1)水生動物相を水質と関連付ける場合,化学的水質検査も同時に実施する必要がある;(2)水質指標生物は小学校ではなく、中学または高校で教えるべきである;(3)学校教育において指標生物を教える場合、水質以外の環境要因も考慮することが必要である;(4)小学校では、水生生物は生物多様性と地域環境を理解するための教材とするべきである;の4点を挙げた。
著者
石田 裕
出版者
東京農業大学短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

結果:市販の乳化型被膜剤を用いてイマザリル(IMZ)とチアベンダゾール(TBZ)を展着させた物を試料とした。じゃが芋では、展着風乾後の皮の部分にIMZ47ppm,TBZ93ppm、身の部分にIMZ0.6ppm,TBZ0.8ppm、更に水洗浄(振盪5分)後は、それぞれ45ppm,65ppm,1.2ppm,1.3ppm、洗浄・蒸し調理30分後は30ppm,16ppm,0.6ppm,1.5ppm、洗浄・ラップ包装電子レンジ調理(500W、4分)後は25ppm,30ppm,0.4ppm,1.8ppmが検出された。又洗浄後クシ型に8分割し、揚げ調理(180℃3分)を行なったものは、それぞれ4.8ppm,16.4ppm,0.2ppm,0.4ppmが検出された。この結果から、1.洗浄での除去率は低いが、内部への浸透が若干高まる。2.蒸し調理と電子レンジ調理では同様の傾向が見られ、これはラップ包装により、蒸し加熱と同様の効果が起る為と考えられる。3.揚げ調理ではIMZでは約1/10に,TBZは約1/4に減少し、原因として高温(180℃)加熱による分解あるいは揮散と、揚げ油への溶出が考えられた。4.油中の絶対量と、じゃが芋に残存する絶対量について測定を行なった結果、IMZは芋中の残存料とほぼ同量が、TBZは約1/2量が油中に検出され、油への移行が認められた。しかし初期の展着量からみると油中と芋中の量を合わせてIMZは約1/5、TBZは約1/2.5であり、損失部分が多くを占めた。人参についてもじゃが芋と同様の傾向がみられたが、皮がじゃが芋に較べ軟弱であることから、内部への浸透がやや大きかった。レモンについては果皮が強固で厚みがあることから、内部への進入は殆どみられず、IMZ、TBZのいずれも、身では0.1ppm以下であった。しかし皮には水洗後もIMZ7.2ppm,TBZ16ppmが検出され、単なる水洗浄では除去効果が殆どみられなかった。またマーマレードの作成において、出来上り時のIMZとTBZの濃度はいずれも1.0ppmで、展着時の1/10および1/20程度と低い含有を示し、煮沸後の水さらしとpH4前後での煮熟が、残存量の低下に関与することが示唆された。
著者
鈴野 弘子 豊田 美穂 石田 裕
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.376-381, 2008-03-30 (Released:2008-05-09)
参考文献数
11
被引用文献数
3

用途が拡大しているミネラルウォーターを, 調理に使用する際の取捨選択の基礎的知見を得ることを目的として, 硬度の異なる数種のミネラルウォーターを用いて昆布だし汁を調製し, そのミネラル成分とうま味成分の含有量を検討した。1) だし抽出時における昆布への水分吸収は, 硬水は軟水より低い傾向であった。ミネラルウォーターの pH は弱アルカリ性から中性であったが, 昆布だし汁は弱酸性になった。2) 昆布だし汁のミネラル含有量は, Na は抽出1時間から6時間にピークに達し, その後は平衡か若干減少する傾向にあった。K 含有量は, 抽出1時間で急激に上昇し, その後は微増傾向あるいはピークに達した後, 減少傾向であった。Ca 含有量は, 軟水の昆布だし汁では増加はわずかであった。また, 抽出時間が長くなってもその増加はほとんど認められなかった。一方, 硬水ではだし抽出1時間後には減少し, その後は平衡であった。すなわち, もともとミネラルウォーター中に含まれていた Ca が昆布に吸着したと考えられた。Mgも一度溶出され, その後再吸着されたといえる。3) 昆布だし汁のグルタミン酸ナトリウムの含有量は抽出時間が長くなると増加する傾向であった。しかし, これらの増加傾向に軟水, 硬水の違いは認められなかった。4) 昆布だし汁への硬水の利用は適さないと考えられ, さらにミネラルウォーターを調理に用いる際は, 調理の種類によって使い分けが必要であることが示唆された。
著者
石田 裕昭
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.208-215, 2005

The present study explored perfectionists' task-strategy and its inefficiency in the information-seeking task from the misregulation perspective. Participants were divided into two groups on the basis of Perfectionism Cognitions Inventory (PCI). Twenty-eight students, 15 high- and 13 low-perfectionism participants, were asked to prepare for the test by gathering information, which was designated as either important or unimportant. The amount of unimportant information was regarded as a tangential strategy, such that too much effort or excessive persistence would impair the efficiency in the task. The hypothesis tested was that high perfectionists' inefficient strategy would lead to a drop of their test score. The results suggested that high-perfectionists collect unimportant information more than low-perfectionists, and resulting in them attaining a lower test score. Our findings indicated that perfectionists' high motivation and adherence to problem solving, coupled with their use of careful strategy, could backfire.
著者
奥田 稔 大久保 公裕 後藤 穣 石田 裕子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.555-558, 2005-06-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
2

【目的】スギ花粉時然曝露による花粉の身体への付着を花粉症発症予防のために明らかにする. 【方法】非スギ花粉症男性高校生10名を洗顔後, 非花粉汚染木綿Tシャツ, 運動帽を着用, 運動場および教室内で2003年3月16日それぞれ2時間自由行動させ, 粘着テープでシャツ, 帽子, 顔面皮膚から付着花粉を採取カウントした. 不織木綿, 綿ポリエステル混紡, 羊毛布地を水洗, 運動場10カ所で5時間放置乾燥後, 付着スギ花粉を同様に採取カウントした. 実験運動場, 教室の浮遊, 落下花粉数もカウントした. 【結果】Tシャツ, 帽子, 皮膚付着花粉は運動場で教室内より多かった. 教室内外では単位面積当り付着数は有意差がなく, 教室内ではTシャツが皮膚より多い傾向にあった. 水洗布地への付着数は混紡で, 綿, 羊毛より少なかったが傾向差であった. 浮遊花粉数は教室内で少なかった. 【考察】結論:外出には混紡のコート, 帽子を着用し, 帰宅後は洗顔をする. コート, 帽子は玄関のコート掛けにかけておくが良い.
著者
硲野 佐也香 中西 明美 野末 みほ 石田 裕美 山本 妙子 阿部 彩 村山 伸子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.19-28, 2017 (Released:2017-04-11)
参考文献数
24
被引用文献数
3 4

【目的】本研究は,日本において,世帯収入と子どもの食生活との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】 2013年9~12月,東日本4県6市村の19小学校に在籍する小学5年生(10~11歳)及びその保護者を対象に自記式の質問紙調査を実施した。世帯収入が貧困基準以下の群とそれ以外の群に分け,食事区分ごとの食事摂取頻度,家庭での食品の摂取頻度及び外食の摂取頻度と世帯収入との関連について,χ2 検定を用いて検討した。その後,摂取頻度に関する項目を目的変数とし,説明変数は世帯収入として多変量ロジスティック回帰分析を行った。調整変数は児童の性別,居住地域としたものをモデル1,モデル1に家族構成を加えたものをモデル2とした。【結果】調査に同意が得られた1,231名のうち920名を解析の対象者とした。χ2 検定の結果,世帯収入群別に有意な差がみられたのは朝食,野菜,インスタント麺,外食の摂取頻度だった。多変量解析の結果,モデル1,モデル2共に,低収入群が低収入以外群と比べて,学校がある日,休みの日共に朝食の摂取頻度,家庭での野菜の摂取頻度および外食の摂取頻度が低く,魚や肉の加工品,インスタント麺の摂取頻度が高かった。【結論】日本において,世帯収入が貧困基準以下の世帯の子どもは,朝食,野菜,外食の摂取頻度が低く,肉や魚の加工品,インスタント麺の摂取頻度が高いことが示され,世帯の収入と子どもの食生活に関連があることが示唆された。
著者
石田 裕
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.216-225, 2010-07-25 (Released:2016-04-01)
参考文献数
20

近年,食に関する苦情が多く寄せられている.生活環境の中には多くの化学物質が存在しており,ものによっては環境中から食品へ移染する場合もあり,摂取により安全性が妨げられる場合もある.食品への化学物質の移行に関していくつかの例を示したが,特に気化しやすい物質についてはその挙動を念頭におき,近くに食品を置かないことや,包装の材質を考え透過しない容器に入れておくなどが対応策として重要である.
著者
大野 公子 野澤 美樹 伊藤 早苗 佐藤 理恵子 石田 裕美 上西 一弘
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.57-65, 2020-04-01 (Released:2020-05-27)
参考文献数
23

【目的】中学1年生女子における鉄欠乏を横断的に把握し,鉄欠乏のリスク因子を明らかにして,鉄欠乏の予防に役立てることを目的とした。【方法】我々は,都内にある私立中高一貫校において,身体組成,血液検査等を継続して実施している。本研究の解析対象者は2012~2017年度に入学した中学1年生女子715名のうち,本研究で使用する全てのデータに不備のない493名である。調査項目は,身体組成,血液検査結果,食物摂取頻度調査,日常生活に関するアンケートとした。なお血清フェリチン 12 ng/ml未満を鉄欠乏群, 12 ng/ml以上を正常群として解析を行い,二項ロジスティック回帰分析を用いて鉄欠乏のリスク因子を検討した。【結果】正常群に比べ,鉄欠乏群は肥満度,体脂肪率,体脂肪量,初経発来者率が有意に高値で,初経後経過月数が有意に長かった(p<0.05)。正常群に比べ,鉄欠乏群は魚や肉を昼食に「食べない」と回答した者の割合が有意に高く,自分の体型に「満足している」と回答した者の割合が有意に低かった(p<0.05)。初経発来してない者に比べ,発来している者は鉄欠乏のリスクが9.44倍高く,魚や肉を昼食に「食べない」者に比べ,「普通に食べる」「たっぷり食べる」者は鉄欠乏のリスクが0.28倍,0.09倍それぞれ低かった(p<0.05)。【結論】中学1年生女子の鉄欠乏を予防するためには,体外への鉄損失量を食事で補うことが必要であり,鉄欠乏のリスクは,昼食に肉や魚を食べる者において低いことが示唆された。
著者
塩原 由香 村山 伸子 山本 妙子 石田 裕美 中西 明美 駿藤 晶子 硲野 佐也香 野末 みほ 齋藤 沙織 吉岡 有紀子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.66-77, 2020-04-01 (Released:2020-05-27)
参考文献数
28

【目的】本研究は,小学生の日常の食卓に並び,かつ喫食した料理から1食の食事パタンの出現状況を明らかにする。【方法】対象者は,K県の小学5年生235人のうち,4日間の食事記録がある185人(有効回答78.7%)。調査は,2013年10~11月の平日,休日の各2日の連続する4日間に児童自身が写真法を併用した秤量法または目安量記録法によって実施した。解析対象の食事は,185人の朝・昼・夕の3食×4日間の12食/人のうち,学校給食の2食を除く1,850食から,欠食を除いた1,820食とした。料理は食事記録に記載された料理名,主材料並びに食事の写真を照合し,16の料理区分(主食,主菜,副菜,主食と主菜等を合せた料理等)に分類した。食事パタンは,料理区分を組合せた13の食事パタン(「主食+主菜+副菜」「主食と主菜等を合せた料理+主菜+副菜」等)に分けた。解析方法はχ2 検定を用いた。【結果】13の食事パタン全てが出現した。多い順に「主食」19.9%,「主食+主菜+副菜」17.3%であった。食事区分別では,朝食は平日・休日共に「主食」が30.8%,33.4%と多かった。夕食は「主食+主菜+副菜」が多かったが,4割以下の出現に留まった。【結論】食事パタンは全体で「主食」が多かった。夕食は平日・休日共に「主食+主菜+副菜」が多かったが,出現数は4割に留まり,その他10種以上の食事パタンが出現した。
著者
渡辺 優奈 善方 裕美 石田 裕美 上西 一弘
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.89-97, 2016 (Released:2016-09-06)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

【目的】本研究は,1年以上授乳を続けた女性における,妊娠初期から授乳期および卒乳後までの鉄栄養状態の実態を明らかにすることで,妊婦,授乳婦への栄養指導に活用できる資料を得ることを目的とした。【方法】対象者は授乳期間が1年以上であった女性30名とし,妊娠初期(妊娠5~12週),出産時,産後1ヵ月,産後6ヵ月,産後1年,卒乳後(卒乳後3~6ヵ月)の6時点を解析対象とした。妊娠初期から卒乳後までの鉄関連指標(赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値,血清鉄濃度,フェリチン濃度)および鉄摂取量の推移,卒乳後フェリチン濃度に関連する指標の検討を行った。【結果】赤血球数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット値および血清鉄濃度は,妊娠期に低下したが産後1ヵ月で回復し,卒乳後まで変化はみられなかった。妊娠期に低下したフェリチン濃度は,産後1年までに徐々に回復傾向を示したが,卒乳後には再び妊娠初期よりも低値となった。また,妊娠初期から卒乳後まで鉄摂取量に変動はなかった。卒乳後のフェリチン濃度は,月経再開からの期間と負の相関(r=-0.424,p=0.020),妊娠初期のフェリチン濃度とも正の相関(r=0.444,p=0.014)がみられた。【結論】フェリチン濃度は,妊娠期に低下し産後1ヵ月では回復しないが,授乳継続により,その間に漸次増加する傾向がみられた。これより,授乳期に積極的な鉄摂取を促すことで,産後の鉄貯蔵を増加させることが期待できる。
著者
Wibowo Tansri 河本 恵介 山口 勇太 石田 裕 吉峰 由子 真鍋 侑資 原 侑紀 矢賀 元 中原 英子 比嘉 慎二 前田 恵治 緒方 篤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.114-120, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
11

症例は75歳男性.血球減少・腎機能悪化・発熱・炎症反応高値に加え,抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性,抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体陽性より膠原病が疑われたが心エコーにて僧帽弁に疣腫形成を認めたため,血液培養陰性であったが感染性心内膜炎(IE)として抗生剤を開始した.抗生剤に対する反応が十分ではなかったが,Bartonella属抗体の有意な上昇を認めたことが適切な抗生剤の選択につながった1例を経験したので報告する.
著者
鈴木 継美 今井 秀樹 小林 香苗 本郷 哲郎 柏崎 浩 大塚 柳太郎 鈴木 久乃 石田 裕美
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.91-102, 1988
被引用文献数
5 10

食材料 (生鮮67種, 加工・調理済70種) を一般市場より購入し, 某女子大生の食事記録に基づき83種の料理を作成した。これらの食材料と料理のセレン含量をWatkinsonの方法によって測定し, その値を文献値と比較した。これらの値に基づき, 食品群別セレン含量を定め, 国民栄養調査の結果 (昭和60年) を用い, 日本人1人1日あたりセレン摂取量を推定した。<BR>1) 生鮮食材料のうち高値を示したものは, 魚介類, 肉類, 卵類であった。文献値と比較すると, 生鮮, 加工両食材料ともにかなり食い違うものがみられた。<BR>2) 1人1回分の料理のセレン含量の大きかったものは, めん類, 卵料理, 肉料理, 魚介類の料理であったが, 料理のエネルギー含量100kcalあたりでみると, もっとも大きいものは魚料理であった。なお, 調理によるセレンの損失の可能性が一部の料理に認められた。<BR>3) 日本人1人1日あたりの推定摂取量は, 調理損失を考慮しないと, 104.2μgであった。
著者
東 政明 小林 淳 石田 裕幸
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

細胞内外の水輸送を司る分子が,細胞膜にあるアクアポリン(水チャネル)である。生物の水やイオンのバランス維持は,細胞が有する必要不可欠な機能で,昆虫は小さな体でありながら,そのごく少量の体内水分をアクアポリンを介して効率よく循環させ,からだの乾き(渇き)を防いでいる。水を唯一の輸送溶質とするアクアポリンの基本的な性質に加え,細胞膜に対して通過性が高いとされる非電荷溶質(グリセロール・尿素等)をも通過可能な多機能タイプ(アクアグリセロポリン)の同定と特徴付けを,カイコおよび他昆虫を用いて実施した。さらなる分子機能を調査するべく,単純な小胞系やリポソーム系の確立をめざした。
著者
柴田 裕一 鬼頭 壮宜 石田 裕之 後藤 優吾 上條 正義
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1068-1074, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2

近年、更なる日没前後から夜間に発生する交通事故低減を目的に、路面にシンボルを投影し歩行者等に車両の挙動を伝える路面描画ランプが検討されている。本論文では交差点左折時に作動するターンシグナルランプ用路面描画を想定し、必要な明るさ及び幻惑光(グレア)の有無を確認した。
著者
石田 裕人 岡見 次郎 須﨑 剛行 楠 貴志 徳永 俊照 東山 聖彦
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.172-175, 2021-03-15 (Released:2021-03-15)
参考文献数
8

症例は61歳男性,右中葉肺癌に対して右中葉切除術を行った.術中にタコシールⓇを2回使用し,1回目は上肺静脈に約1 cm2使用し,2回目は1時間後に肺瘻修復と先程の上肺静脈の追加補強のために約22 cm2使用した.その約10分後に,収縮期血圧が40 mmHg台まで急激に低下し,昇圧剤投与にも反応乏しく,血圧低値が続いた.術野に明らかな出血はなく,患者の顔面や頸部,上腕に紅潮・膨隆疹を認めたため,アナフィラキシーショックと判断した.タコシールⓇが原因である可能性を疑い,全てのタコシールⓇを除去し,生理食塩水で貼付部を洗浄した.約10分後に血圧は改善し,昇圧剤への反応は良好であった.後日,リンパ球刺激試験(DLST)を行い,2回目で陽性判定となったため,タコシールⓇによるアナフィラキシーショックと診断した.タコシールⓇによるアナフィラキシーショックは非常に稀であり,注意喚起も含めて報告する.