著者
宮崎 慎一 野田 裕之 森田 照美 上萬 恵 岡田 睦博 守山 泰生 鈴木 一則 竹内 勤
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.1359-1364, 2007 (Released:2007-09-05)
参考文献数
12

症例は64歳男性.前胸部痛および右下腿浮腫にて当院受診,精査目的に入院となった.両側胸水を認めたため,穿刺したところともに乳糜胸水であり,左胸水の細胞診で低分化型腺癌を認めた.精査にて4型胃癌が原発巣であると診断した.両側乳糜胸水を来す胃癌は極めてまれであり,また乳糜胸水から淡黄色の胸水への変化が認められ,乳糜胸水の成因を考える上で示唆に富む症例であると思われたため報告する.
著者
房間 美恵 中原 英子 金子 祐子 竹内 勤
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.181-187, 2019-09-30 (Released:2019-11-02)
参考文献数
19
被引用文献数
1

2010年にTreat to Target(T2T)(目標達成に向けた治療)リコメンデーションが提唱され,この概念は日本でも,全国的な普及活動によりリウマチ診療に従事する医療者に浸透してきた.この中のoverarching principles(基本的な考え方)で最初に述べられているのが医師と患者との「shared decision making(共同意思決定)」であるが,患者が自身の病気や治療を理解し,共同意思決定プロセスに参画するためには患者教育が必須である. 2015年にEULARから,2つの基本的な考え方と8つの推奨事項からなる炎症性関節炎患者に対する患者教育のリコメンデーションが提唱された.基本的な考え方の中では,患者教育は医療者と患者が双方向で行うべきであること,患者自身が病気と付き合いながら生活を自己管理できるように支援すること,そしてこれら実現のために医療者は患者と十分コミュニケーションを取りながら共同意思決定を行うことが必要不可欠であることが示されている.患者教育とT2T実践,共同意思決定は密接に関連しあう.患者教育をすべての炎症性関節炎患者の標準治療の一部として実施できるよう,その課題を評価し,より良い教育支援に向けて多職種協働で取り組むことが重要である.