著者
中司 弘樹 河野 靖美 松田 沙織 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.437, pp.39-45, 2015-01-22

本研究は心音の脳波に対する影響を調べた.実験は、被験者白身の心音、彼らの母親の心音、他人の心音、雑音をランダムに提示し、その音源を聴取している時の脳波を測定した.またそれぞれの音源聴取後、アンケートを取り、その音源が、どれくらい心地良いか、眠気を誘導するか評価して貰った.測定した脳波との比較に用いた,脳波は、各音源聴取期間後半で高速フーリエ変換を行い、δ、θ、α、β、γの周波数帯域毎に平均周波数スペクトルパワー値及び各脳波測定電極間でコヒーレンスを計算した.その結果、パワー値に関しては脳波θ波が主に眠さ得点と相関がある事が明らかになった.一方、心音聴取時、聴覚野部位を含む脳波電極間のコヒーレンス変化が生じる事、その空間パターンは心音音源により異なる事が明らかになった.以上の結果は、私達は心音を区別出来、誘導する脳内情報処理が異なる事を示唆している.
著者
夏目 季代久 中司 弘樹
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.3-6, 2013-03-05 (Released:2013-05-17)
参考文献数
22
被引用文献数
1

脳内には様々な周波数を持ったリズム現象が観察されている.私たちはラット脳から作成した海馬スライスに,アセチルコリン作動薬であるカルバコールを投与すると,周波数15-20Hzのβ波様振動が出現する事を明らかにした.それらはまた周期30-40秒ほどでバースト的に誘導される.一方ラットを12時間12時間の明暗(LD)サイクルの環境下におくと,そのサイクルに引き込まれて行動する.L,D期それぞれのラットから切り出した海馬スライスにカルバコールを投与すると誘導したβ振動は異なった.この結果は,脳内神経の異なる周波数リズム間に相互作用がある事を示唆している.