著者
前尾 直子 中塚 和夫 酒井 義生 山之内 夘一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.131-133, 1991-02-15

水晶体嚢のtrue exfoliationの1例を経験したので報告した。症例は78歳男性で両眼の前房中に薄い透明なセロファン様の膜を認めた。この膜は水晶体前嚢と連続性があり眼球運動に際して可動性を有していた。Pseudo-exfoliativematerialとは明らかに異なる様相を呈しており,隅角所見は両眼とも正常で緑内障の合併もなかった。職歴から強い熱への暴露が原因と考えられた。
著者
古嶋 正俊 今泉 雅資 中塚 和夫
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.835-838, 1994-05-15

若年性糖尿病患者の糖負荷試験で,調節麻痺眼にも近視化と眼圧降下が生じる。こうした屈折調節系の変化が高血糖に基づくものか否かを明らかにする目的で,調節麻痺剤点眼処置をした若年健常人5名に経口糖負荷を行い,血液生化学と屈折調節系の変化を調べた。糖負荷により,血糖値と血漿浸透圧が上昇し,眼圧の降下,屈折度の近視化,浅前房化,水晶体の肥厚が生じた。近視化の程度は,調節麻痺による残余調節力以上の変化を示した。負荷後の血糖値正常化に伴い,眼圧は正常化し,近視化も改善した。以上の結果から,高血糖に伴う近視化は,眼圧降下によって生じたチン小帯張力の減少が誘発した水晶体肥厚に基づくと推論された。遠視化は血糖正常化に伴う近視化の改善によると考えられた。