著者
小川 暢也 大里 栄子 三隅 二不二 中野 重行
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.116-122, 1973-12-30 (Released:2010-11-26)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

本実験は, 競争条件による鏡映描写テスト遂行時の脈拍数およびテストの成績を非競争条件と比較し, さらにそれらの条件下における不安および攻撃性の反応特性について検討することを目的とした.対象は年令18~19才の健康な女子学生40名で, 予め施行したMASの得点19~25の者20名 (Moderate An-xiety Group=MA), 26~37点の者20名 (High AnxietyGroup=HA) であった. さらにこの40名にHGSを施行し, 高得点の者8名 (得点範囲32~48), 低得点の者8名 (得点範囲13~18) を攻撃性に関する分析の対象にした.まず, 被験者は個別に鏡映描写テスト1試行1分間で10回練習した後, 3試行を非競争条件として施行され, ひきつづき別室にてMA-MA, およびMA-HAのpairで競争条件のもとに3試行施行された.脈拍数はpulsemeterによりそれぞれの条件において10秒間の最高値が連続測定された.テスト後HGS, ならびに実験時の自己認知について質問紙法により測定した.結果は, 競争条件と非競争条件間の脈拍数に差を認めたが, HAとMA間に差は認められなかった. 安静時, 教示期, 試行中および試行後とも競争条件下では非競争条件に比べて脈拍数は増加し, 特にテスト第1試行目において顕著な増加が認められた.HGSによる高攻撃性, 低攻撃性群の脈拍数は, 非競争条件間では差は認められなかったが, 競争条件下では2群間に差が認められ, 低攻撃性群が有意に高い値を示した.以上, 競争場面のarousal levelは非競争的な場面よりも高く, 競争という特殊なsocial interactionが生理反応に影響を及ぼすことが確かめられ, しかもMASによる中, 高不安水準よりもHGSによる攻撃性においてその反応に特異性をもつことが示唆された.
著者
中野 重行 菅原 英世 坂本 真佐哉 小関 哲郎 上村 尚人 丹生 聖治 角南 由紀子 松木 俊二 梅月 恵美
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-7, 1999-01-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
5 5

Objectives: A variety of factors influence the incidence of placebo effects . The purpose of this study was to clarify the influence of factors such as the doctor-patient relationship, patient's motivation and expectation for drug therapy on placebo effectsMethods: Data were obtained from two double-blind randomized clinical trials with a placebo control group of 123 patients with psychosomatic disorders. The improvement was assessed by doctors at two weeks after the initiation of treatment. The doctor-patient relationship, patient's motivation and expectation for drug therapy were assessed by doctors at the beginning of clinical trials.Results: The improvement rate in the placebo group was 42.3%, whereas the improvement rate in the diazepam group was 57.6% (p <0.05). In the placebo group, improvement rates were 50.0% in patients with a good doctor-patient relationship, 31.4% in patients with a moderate relationship and 10.0% in patients with a poor relationship (p < 0.05).Improvement rates were 46.1% in patients with a good motiva-tion for drug therapy and 19.0% in patients with poor or lack of motivation (p <0.01).Improvement rates were 36.4% in patients with low expectation for drug therapy, 53.0% in patients with a moderate one, and 7.7% in patients with high expectation (p <0.05).Conclusion: In patients with psychosomatic disorders, factors such as the doctor-patient relationship, patient's motivation and expectation for drug therapy clearly influ-ence the incidence of placebo effects.
著者
中野 重行
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.63-66, 2003-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
3
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.
著者
豊澤 英子 中野 重行 小手川 喜美子
出版者
大分医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

研究目的:本研究は、老年者の服薬コンプライアンス(遵守)に関与する要因の分析およびノンコンプライアンス患者への看護介入の効果について明らかにすることを目的とした。研究方法:通院治療中の老人患者(65歳以上)および成人患者(64歳以下)のうち、研究の目的と方法について説明し、同意を得ることができた患者を対象として面接調査を行い、服薬コンプライアンスに影響する要因を検討した。また、ノンコンプライアンス行動を示した患者の追跡調査を行うことにより、服薬コンプライアンスの改善を目的とした看護介入の有用性を明らかにした。統計解析は、X^2test、t-test、Mann-Whitney U-testおよびKruskal-Wallis testを用いた。研究結果および考察:1.調査対象者は老人101名と成人105名の計206名であった。老人は成人に比し、複数処方の実際を担当医師に報告する割合が高かった(各々 p<0.01,p<0.05)。老人は成人より服用薬剤の種類は多いが、自己評価による服薬遵守は良好であった(p<0.01)。また、飲み忘れも少なかった(p<0.001)。老年者・若年者ともに、治療期間が5年以下の者あるいは治療効果有りと判断した者では、自己申告によるコンプライアンスは良好であつた(各々p<0.05)。2.ノンコンプライアンス行動を示した患者10名を6カ月間追跡調査した結果、定期的に面接し、服薬指導および健康問題の解決に関する話し合いをもった患者では、服薬コンプライアンスが改善した。看護ケアプランに基づく看護介入が有効であることが示唆された。結語:老人は成人に比し、服薬に対する関心が高く、望ましい服薬行動を取っていた。また、両者ともに、治療期間、治療効果に関する患者の認識および薬物治療への不安が服薬コンプライアンスに影響しており、ケアプランに基づく看護介入がそれらの改善に有効であった。