著者
中尾 正和
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.692-699, 2012 (Released:2012-11-13)
参考文献数
1

術中覚醒はまれだが,患者にも麻酔担当者にとってもつらい経験となる.術中覚醒例を紹介し,よく起こしがちな事例・防止策の共有を試みた.その原因には麻酔薬の投与不足,痛み刺激による鎮静作用の相対的不足,個人差の評価ミスのほか,不明確なものもある.脳波モニターはコストもかかり完璧な信頼度ではないが,筋弛緩状態のように呼吸・体動では麻酔不足を判断できないときには特に有用性が高い.装着していてもその限界を知って判断の遅れや間違いがないようにするなどの注意が必要である.一方,術中に覚醒したと気づいたときにはその場で説明することができれば,心的外傷後ストレス障害(PTSD)を減らせる可能性も考えられた.
著者
中川 博文 東 俊晴 松原 由紀 白石 成二 中尾 正和 山崎 京子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.334-338, 2008 (Released:2008-04-16)
参考文献数
10

厚生労働省の 「輸血療法の実施に関する指針」 が2005年9月に改定された後, AB型患者の大量出血に対して異型適合血輸血を考慮した2症例を経験した. 緊急輸血に携わる医療従事者は, 異型適合血輸血の適応に関する認識を新たにするとともに, 危機的出血に際して迅速に適合血の選択を確認できるよう小冊子を配置し, 定期的な勉強会を開催するなど, 速やかな緊急輸血実施のための院内体制の整備に努める必要があると考えられた.