著者
五十嵐 理慧 武永 美津子 中山 利明
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

臨床応用可能な神経系DDS製剤の開発を目ざして脳神経細胞由来神経栄養因子(brain derived neurotrophic factor, BDNF)とレシチン誘導体を結合したレシチン化BDNF(PCBDNF)を合成し検討した。まずBDNFの薬理活性が報告されているC57BL/KSJ-db/dbマウスにおける摂食抑制効果、血中グルコース抑制効果、体重増加抑制効果で検討した結果、PCBDNFはBDNFそのものに比較して著明な薬理効果の増強が見られた。用量で比較するとPCBDNFはBDNFそのものより20倍も活性が増強していることが示唆された。その薬理効果増強の機序が何に起因するのかを検討したところ血中半減期の長さに起因するのではなくPCBDNFの高い細胞親和性によることが示唆された。またIn vivoでの検討により中枢神経系への集積性が高くなっていることが観察され血液脳関門(BBB)の通過性が高くなっていることが示唆された。さらに神経系細胞であるPC-pAB1細胞を用いて活性化MAPKをウエスタンブロッティングで追いかけたところPCBDNF添加PC-pAB1細胞は持続的なMAPK活性化を示し、レシチン化によってBDNFに新たな機能が付加されていることが示唆された。持続的なMAPK活性化は細胞を分化の方向に誘導するとされており、これらが薬理効果の増強と大きな関係を持つと考えている。また最適レシチン導入数の同定のために有機合成したPCBDNFについて結合部位と結合数を分析したところ、結合部位は平均的に導入され、平均導入数はBDNF一分子あたりおおよそ3分子のレシチン誘導体が結合していることが判明した。
著者
丸山 秀幸 村山 敏 中山 利明 矢ノ口 幸夫 松永 啓 岡本 潔
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.78-81, 2010

耐倒伏性に優れた秋ソバ品種「タチアカネ」を長野県内の在来種から選抜育成した.「タチアカネ」は「信濃1号」,「常陸秋そば」,「階上早生」といった本州の主要なソバ品種と比較し倒伏が少なく,折損抵抗や引き抜き抵抗が高い.草丈,節数,花房数は「信濃1号」と同等で,分枝数は0.3本少ない.子実重は「信濃1号」と同等で,容積重,千粒重はそれぞれ21g,1.3g重い.ゆで麺の食味は「信濃1号」と同等で,色の評価が優れる.花色は白,果皮色は乳熟期に赤色で成熟期には黒褐色となる.本品種は農林水産省そば育種指定試験事業により育成した.