- 著者
-
山下 暢子
舟島 なをみ
中山 登志子
- 出版者
- 日本看護教育学学会
- 雑誌
- 看護教育学研究 (ISSN:09176314)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.51-65, 2018-03-31 (Released:2018-04-27)
- 参考文献数
- 69
- 被引用文献数
-
4
本研究の目的は、看護学実習中の学生が直面する問題の全容を明らかにし、その特徴を考察することである。全国の看護基礎教育機関のうち、研究協力に承諾の得られた41校に在籍する看護学生2,291名を対象とする調査を行った。測定用具には、看護学実習中の学生が直面している問題を問う自由回答式質問を含む質問紙と対象者の特性を問う質問紙を用いた。回収された質問紙は717部(回収率31.3%)であった。看護学実習中に問題に直面したと回答した学生345名のうち、看護学実習中の学生が直面している問題を問う自由回答式質問に回答した335名の記述を、Berelson, B.の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した。結果は、【知識量の乏しさと活用度の低さによるクライエント状態に応じた看護過程展開難航】【看護を学ぶ学習者としての素養の乏しさと欠落による自信喪失】【不適確な指導による指導者との相互行為諦念と厭悪】など、看護学実習中の学生が直面する問題を表す37カテゴリを明らかにした。Scott, W.A. の式に基づくカテゴリへの分類の一致率は90%以上であり、カテゴリが信頼性を確保していることを示した。また、37カテゴリから、6種類の特徴が見いだされた。本研究の成果は、看護学実習中の学生が自身の直面している問題を客観的に理解することを可能にし、その問題の解決手段を導くために活用可能な知識となる。また、看護学教員にとって、学生の能動的学修支援に有用である。