著者
溝上 雅史 杉山 真也 村田 一素 鈴木 善幸 伊藤 清顕
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

IL28B遺伝子の転写蛋白インターフェロンλ3 (IFN-λ3)の測定法を新規開発し、患者末梢血単核球をex vivo刺激で得られた上清や血清のIFN-λ3が良好なPeg-IFN/RBV併用療法効果予測が可能で本法の臨床的有用性を証明した。また、BDCA3陽性樹状細胞はC型肝炎ウイルスを認識し、toll-like receptor 3を介してIFN-λ3を産生することを示した。
著者
多田 達哉
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年に日本の医療施設から収集した多剤耐性緑膿菌300株を解析した結果、新規アミノグリコシド耐性因子AAC(6')-Iajを同定した。AAC(6')-Iajは日本で広く分離される多剤耐性緑膿菌が保有するAAC(6')-Iaeに比べてアルベカシン耐性度が高かった。また、2012年度に分離された多剤耐性緑膿菌300株を解析した結果、IMP-typeメタロ-β-ラクタマーゼの新規バリアントIMP-43およびIMP-44を同定した。これらのIMPバリアントはよりカルバペネム分解能が高いことが明らかとなった。
著者
外崎 明子 佐藤 正美 七澤 朱音 浅野 茂隆
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

座りがちな生活習慣は肥満やメタボリック・シンドロームの発症リスクの上昇と関連し、座ったままで過ごす時間がインスリン抵抗性を高めるためであると推測されている。乳がん化学療法を受ける患者では座りがちな生活スタイルとなる傾向にある。本研究はパイロットスタディとして、乳がん化学療法中の患者を対象に活動強度別活動時間とインスリン抵抗性、体重増加率、身体組成の変化との関連性を検証する。インスリン抵抗性はHOMA-R(Homeostasis Model Assessment Score)で評価する。データ収集中の現時点で、体重増加率は3.OMETs(metabolic equivalent)以上の活動時間数と強い負の相関関係にあり、化学療法中の体重増加抑制には中等度以上の身体活動量が影響する傾向が認められた。
著者
鏑木 康志 久保田 浩之
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

糖尿病腎症(DN)患者における血清可溶性LR11(sLR11)濃度を測定しDNとの関連を検討した。対象は健常者(H)39名、2型糖尿病患者(T2DM)38名、DN2期患者(DN2)34名、DN3期以降患者(DN3)53名とした。sLR11濃度はHに比べDN2, DN3で有意に上昇し、sLR11(β:0.22)、罹病期間(β:-0.22)、収縮期血圧(β:0.17)、HbA1c(β:0.22)、eGFR(β:-0.24)がACRの有意な規定因子であった。ロジスティック回帰分析ではsLR11、HbA1c、CreがDNの危険因子となった。血清sLR11の変動はDNの発症・進展と関連する可能性がある。
著者
佐伯 久美子
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ヒトES細胞において確立した独自の好中球分化誘導法を駆使してヒトiPS細胞からの血液細胞分化誘導を検討したところ、マクロファージ主体となってしまった。しかし、分化誘導初期には骨髄系の前駆細胞は存在し、これをマクロファージが貪食していると思われる所見を得た。このようなマクロファージによる血球貪食はヒトの疾患でも知られており、その培養系モデルとなる可能性を想定して分子機構の解析を試みた。I型インターフェロン(IFNα1、IFNα2、 IFNβ1)の発現をRT-PCR により解析したところ、ヒトES細胞では3株中1株のみで、ヒトi PS細胞では4株全てにおいて分化誘導に伴ってI型インターフェロンの発現が認められた。以上のように、ヒトiPS細胞からの血球分化においてI型インターフェロン産生が高頻度である傾向を認めた。しかしながら、ヒトiPS細胞の株数(さらには供給元)を増やし、培養条件を詳細に検討したところ、一部の細胞株において、低密度培養条件において好中球優位の分化が認められた。一方、ヒトES細胞でも細胞株数を増やして詳細に検討したところ、細胞株によってはマクロファージ優位の分化が認められた。以上より、ヒトiPS細胞における血球貪食による好中球分化不全には再現性が必ずしも無いことが明らかとなった。
著者
亀岡 智美 中山 登志子 舟島 なをみ
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、チーム医療の要である看護師が専門性発揮状況の自己評価に活用できる尺度の開発をめざす第一段階として、他職種と協働・連携する中、看護の専門家の立場から意識的に展開している実践を解明した。全国45病院の看護師902名を対象に質問紙調査を行い、収集したデータを質的帰納的に分析した。結果は、看護師が、看護の専門家の立場から意識的に展開している実践35種類を明らかにした。それは、〈患者の個別状況を考慮しながら健康上、生活上の問題解決を支援する〉、〈患者や家族の心情、苦痛や本音を聞き出し、必要な人物に代弁して伝える〉等である。このような本研究の成果は、最終目的とする尺度開発の基盤となる。
著者
川島 麗
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

マウス小腸一次培養においてTNF-αによるアポトーシス誘導をcaspase活性として検出する実験系を作成した。これを用いてTNF-αにより引き起こされる消化管上皮細胞傷害はIL-13及びTWEAK/Fn14経路に部分的に依存することを明らかにした。さらにヒト潰瘍性大腸炎の炎症局所でもIL-13とともにTWEAK、Fn14発現が上昇することやヒト粘膜へのIL-13添加実験によりFn14発現が上昇することからも、これら因子の相互作用が潰瘍性大腸炎の炎症悪化にも関与する可能性が示唆された。
著者
中村 哲 翠川 裕 波部 重久 松田 肇 翠川 薫 渡部 徹 中津 雅美 二瓶 直子 鈴木 琴子 黒倉 壽 風間 聡 三好 美紀 桐木 雅史
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ラオス国との共研究の主対象となったラオスの消化管寄生虫感染症に関して、現地調査により山岳部と平地とで寄生虫相が異なることを示唆した。特に淡水魚類の生食を介して感染するタイ肝吸虫類の感染が都市周辺域において顕著に高いことを示した。さらに、山岳地居住民の感染率と健康調査データの解析からリスク因子として、年齢や識字率、集落での衛生的な飲み水の利用割合、民族の比率を見出した。そして、これらの因子による重回帰で得られるリスクマップを含めた、地区内または広域でのリスク管理手法を示した。