- 著者
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山崎 晃司
坪田 敏男
小池 伸介
清水 慶子
正木 隆
郡 麻里
小坂井 千夏
中島 亜美
根本 唯
- 出版者
- ミュージアムパーク茨城県自然博物館
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2012-04-01
ツキノワグマの行動生態研究の多くは,秋の食欲亢進期に行われており,春から夏の行動はよく分かっていない。本研究では,各種新型機材を利用し,冬眠明け後の春から夏の野生グマの生理状態の把握と共に,その行動生態の解明を試みた。その結果,夏期には活動量,体温,心拍計共に低下することを確かめた。春は低繊維,高タンパクの新葉が利用できたが,その期間は極めて短かった。夏は食物の欠乏期として捉えられ,夏眠のような生理状態に入ることでエネルギー消費を防いでいたと考えられた。本研究は,秋の堅果結実の多寡だけでは説明できていない,本種の夏の人里への出没機構の解明にも役立つことが期待できる。