著者
浅利 裕伸 池田 敬 岩崎 亘典 岩下 明生 江成 はるか 江成 広斗 奥田 加奈 加藤 卓也 小池 伸介 小寺 祐二 小林 喬子 佐々木 浩 姜 兆文 杉浦 義文 關 義和 竹内 正彦 立木 靖之 田中 浩 辻 大和 中西 希 平田 滋樹 藤井 猛 村上 隆広 山﨑 文晶 山田 雄作 亘 悠哉
出版者
京都大学学術出版会
巻号頁・発行日
2015-03-25

希少種の保護や過増加した在来種・外来種の対策など、野生動物をめぐるさまざまな課題に応えるフィールド調査法。各動物の食性や個体数に関する既存研究をまとめ、地図の読み方やフィールド機材の使い方、糞や足跡をはじめとする動物の痕跡の識別法を具体的に示し、得られた情報から食性や個体数、生息地を評価する方法を体系的に解説する。
著者
金子 弥生 小池 伸介 古谷 雅理
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

現在、里山生態系保全にとっての大きな課題は、在来種の選好生息地の確保と外来種対策である。本研究では在来中型食肉目保全を目的として、種判別を自動、低労力、低コストで行うことのできる動物自動識別装置を開発した。この装置により、食肉目群集共通のKey Habitatを調べ、種間相互作用の将来の変化を視野に入れた在来種の個体群構造を把握、生息地保全策について考察した。さらに、システムを応用して外来種(アライグマ、ハクビシン)選択捕獲装置「ラクーンターミネーター」を製作した。
著者
小池 伸介 羽澄 俊裕 古林 賢恒
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.19-30, 2003-02-21 (Released:2017-10-18)
参考文献数
44
被引用文献数
1

The authors studied the likelihood that seeds were being dispersed by the Japanese black bear (Ursus thibetanus japonicus) in a deciduous forest near Ashikawa Village, Yamanashi Prefecture. The forest was composed of 113 tree species. Japanese black bear ate fruits and seeds belonging to 37 species (including 7 unidentified). About 86.7 to 99.7% of seeds identified in 360 samples of bear feces were in good condition for 17 species (10 drupes, 5 berries, 1 multiple fruit of droplets and 1 pome). However, no intact seeds were found for 5 nut species. The germination rate of Yamasakura (Prunus jamasakura) seeds taken from feces was the same as for uneaten seeds. The results of this investigation suggest a high likelihood of seed dispersal by the Japanese black bear.
著者
小池 伸介 正木 隆
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.26-35, 2008 (Released:2008-10-15)
参考文献数
118
被引用文献数
17 24

食肉目による果実食の実態を把握するため,ツキノワグマ,テン,タヌキの3種を対象に,文献情報に基づいて果実の利用を分析した。その結果,ツキノワグマとタヌキは高木・ツル植物の果実をよく利用していたが,テンは低木とツル植物果実をよく利用していた。ツキノワグマは液果だけではなくブナ科の堅果などをよく利用していた。このような種間差は,高木の樹冠部にアクセスできる能力や利用する果実タイプが種によって異なるためと考えられた。また,ツキノワグマは脂肪分に富む果実を利用する傾向を示したが,他2種はそれらをあまり利用していなかった。これは冬季の冬眠の有無を反映していると考えられた。さらに,いずれの種も多くの樹種の液果を利用していることから,森林における種子散布者として重要な機能を果たしている可能性が高いと考えられた。
著者
山崎 晃司 坪田 敏男 小池 伸介 清水 慶子 正木 隆 郡 麻里 小坂井 千夏 中島 亜美 根本 唯
出版者
ミュージアムパーク茨城県自然博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ツキノワグマの行動生態研究の多くは,秋の食欲亢進期に行われており,春から夏の行動はよく分かっていない。本研究では,各種新型機材を利用し,冬眠明け後の春から夏の野生グマの生理状態の把握と共に,その行動生態の解明を試みた。その結果,夏期には活動量,体温,心拍計共に低下することを確かめた。春は低繊維,高タンパクの新葉が利用できたが,その期間は極めて短かった。夏は食物の欠乏期として捉えられ,夏眠のような生理状態に入ることでエネルギー消費を防いでいたと考えられた。本研究は,秋の堅果結実の多寡だけでは説明できていない,本種の夏の人里への出没機構の解明にも役立つことが期待できる。
著者
小池 伸介 羽澄 俊裕 古林 賢恒
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.19-30, 2003
参考文献数
44
被引用文献数
9

The authors studied the likelihood that seeds were being dispersed by the Japanese black bear (<i>Ursus thibetanus japonicus</i>) in a deciduous forest near Ashikawa Village, Yamanashi Prefecture. The forest was composed of 113 tree species. Japanese black bear ate fruits and seeds belonging to 37 species (including 7 unidentified). About 86.7 to 99.7% of seeds identified in 360 samples of bear feces were in good condition for 17 species (10 drupes, 5 berries, 1 multiple fruit of droplets and 1 pome). However, no intact seeds were found for 5 nut species. The germination rate of Yamasakura (<i>Prunus jamasakura</i>) seeds taken from feces was the same as for uneaten seeds. The results of this investigation suggest a high likelihood of seed dispersal by the Japanese black bear.
著者
小池 伸介 岩井 大輔 佐藤 伸彦 高野 徹
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 : Wildlife conservation Japan (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.31-41, 2007-09-10

We investigated the environmental conditions of Alnus japonica forests as Neozephyrus japonicus habitat along the Arakawa-River, Saitama Prefecture, in 2004 and 2005. N. japonicus was observed in 40 of the 87 forests (46.0%). We measured 11 microhabitat characteristics in each forest and compared them to determine the specific requirements of the butterfly. A. japonica forests inhabited by the butterfly were younger, and the total stem diameter and coverage of flowering plants in June and July were larger than those not inhibited. This suggests that younger trees are suitable for larval growth and that flower abundance in June and July is an important factor. Significant negative correlations were detected between average tree age and total stem diameter and coverage of flowering plants, suggesting that more flowering plants are found in younger forests. This also indicates that younger forests are more suitable for the butterfly. The younger A. japonica forest has more flowering plants than mature forest edges. To conserve and maintain butterfly habitat, we recommend that A. japonica trees be cut down periodically and allowed to regenerate. This approach can be expected to promote young A. japonica forests with many flowering plants, suitable for both the larvae and adults.
著者
大橋 春香 野場 啓 齊藤 正恵 角田 裕志 桑原 考史 閻 美芳 加藤 恵里 小池 伸介 星野 義延 戸田 浩人 梶 光一
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.37-49, 2013-06-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
26
被引用文献数
3

1. 栃木県南西部に位置する佐野市氷室地区において,耕作放棄地に成立する植物群落の違いに着目して集落周辺の環境を区分し,イノシシの生息痕跡の分布との関係を明らかにすることを目的とした. 2. 調査地域における86地点の耕作放棄地において植生調査を実施し,クラスター解析によって種組成を類型化したうえで,各類型を反映させた環境区分図を作成した.さらに,調査地域において約1km^2の調査区を設置し,2010年11月,2011年2月,5月,8月にイノシシの生息痕跡調査を実施した. 3. クラスター解析の結果,調査地域の耕作放棄地に成立する植物群落は管理の状態や土壌の乾湿を反映し,メヒシバ-オヒシバ群落(C1a),アキノエノコログサ-ハルジオン群落(C1b),イヌビエ-コブナグサ群落(C2),ヨモギ-ヘビイチゴ群落(C3a),ススキ-セイタカアワダチソウ群落(C3b),アズマネザサ群落(C4)の6つの類型に区分された. 4. イノシシの採餌痕跡は,C3a,C3b,C4において年間を通じて最も多く確認された.また,秋から冬にかけてはC1aおよびC1b,庭,果樹園において春から夏にかけてはC2,竹林,河川においてそれぞれイノシシの採餌痕跡が多く確認された.イノシシの休息痕跡は8月にC3bとC4で多く確認された. 5. 耕作放棄地に成立する植物群落のなかでも,遷移の進行したC3bやC4における刈り取りなどの植生管理はイノシシによる被害を抑制するうえでもっとも重要であると考えられた.
著者
小池 伸介 葛西 真輔 後藤 優介 山崎 晃司 古林 賢恒
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.279-285, 2006-08-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
41
被引用文献数
7 7

ツキノワグマの糞に飛来する食糞性コガネムシ (以下糞虫) を山梨県芦川村および東京都奥多摩町で調査した。18種が確認された。いずれも広域に分布し, 他の動物の糞でも確認されている種であった。種により季節消長は異なり, 5種は春から秋にかけて成虫が出現したが, 13種は特定の季節のみ成虫の出現が確認された。日周消長は, トラップで採集された10種のうち5種は昼間中心に, 4種は夜間中心に飛来する種, 1種は季節的に活動時間帯が変化する種であった。糞虫の活動場所は, 8種はdwellerで, 糞の表面および糞の内部でのみ確認された。10種はtunnellerで, 糞下部の土壌内からも糞とともに確認された。Tunnellerは, 産卵期以外も, 糞とともに土壌内から確認された。ツキノワグマの糞に数多く飛来した, コブマルエンマコガネ, クロマルエンマコガネ, マエカドコエンマコガネはいずれも, 昼間中心に飛来し, tunnellerタイプの糞虫であった。
著者
有本 勲 岡村 寛 小池 伸介 山﨑 晃司 梶 光一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-31, 2014-06-30 (Released:2014-06-30)
参考文献数
32
被引用文献数
6

近年,ツキノワグマ(Ursus thibetanus)の分布拡大に伴い人間活動との軋轢が増加しているが,集落周辺におけるツキノワグマの生態に関する知見は限られている.そこで,2010年から2011年に7頭のツキノワグマにGPS首輪を装着し,得られた位置情報にスイッチング状態空間モデルを適用し,移動軌跡の平滑化,および活動量センサーを併用して「移動」・「活動中の滞在」・「休息中の滞在」への行動区分を行った.さらに,「活動中の滞在」とされた測位点が集中した地域を現地踏査し,植生や生活痕跡を記録した.ツキノワグマは,多くの個体は夏前期および夏後期に集落に近い場所を利用し,秋期には集落から遠い場所を利用した.一方,個体によっては,これらの傾向に当てはまらない個体もみられた.集落から遠い場所では夏後期はアリ類やサクラ類の果実,秋期はミズナラの果実が多く採食されたのに対し,集落に近い場所では,夏後期はオニグルミやクリ,秋期はカキノキの果実が多く採食された.また,集落の近くでは夜間の活動割合が増加した.以上より,ツキノワグマは,食物資源の分布の季節変化に応じて季節的に集落に近い場所を利用し,特に集落周辺に自然状態とは異なった状況で,特異に集中的に食物が存在する状況下では,多くの個体が集落の周辺を利用していた.
著者
山崎 晃司 後藤 優介 小池 伸介 釣賀 一二三 泉山 茂之 セオドーキン イワン ゴルシコフ ディミトリー ソウティリナ スベトラーナ ミケール デール
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ロシア沿海地方において,ツキノワグマと,ヒグマの種間関係研究に着手した。2016年に必用な許認可が揃い, 2017年春までに計11頭の捕獲に成功し,内9頭(ツキノワグマ5頭,ヒグマ4頭)に衛星通信型首輪を装着した。首輪に内蔵した近接検知センサーにより,種間の遭遇時の動きを記録できた(n=5)。遭遇時には互いに回避を行い,不要な闘争を避けていた。追跡個体の利用クラスター調査では,ツキノワグマおよびヒグマの計148個の糞分析を終えた。共通品目も多かったが,より樹上生活に適応したツキノワグマでは木本の果実であるサクラ属,開放的環境を好むヒグマではコケモモやスグリの地上性の食物に依存していた。