著者
中島 恵太 河田 侑弥 氏原 岳人 堀 裕典
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00053, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
9

近年,都市計画の分野では空き家の増加が問題となっているが,心的要因により行動変容を促す「心理的方略」に基づく施策は十分ではない.そこで本研究では,戸建住宅所有者の自宅の将来に対する関心・行動を高める要因を把握し,それを踏まえた心理的方略に基づく施策を検討した.本研究の主な成果を次に示す.1)自宅の将来に対して関心が高まるきっかけと行動を起こすきっかけは「(戸建住宅所有者の)息子・娘のライフイベント」と「住宅取得」である傾向にあった.また,「息子・娘のライフイベント」では,行動を起こす人と比較して関心に留まる人が多い傾向にあった.2)分析結果に基づき,住宅取得や(息子・娘の)婚姻届提出のタイミングにおける情報提供の手法などを検討した.
著者
中島 恵太 氏原 岳人 織田 恭平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.288-294, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1

本研究では,態度・行動変容研究分野の知見を応用し,戸建住宅を所有する世帯を対象とした空き家にさせないための手法を開発し,岡山市の住宅地を対象にその検証を行った.具体的には,戸建住宅の所有者に対して,空き家にさせないことのメリットを知らせるチラシを配布するとともに,住宅の将来について考えるきっかけを作るためのアンケート調査等を実施した.その結果,1)本研究のアプローチにより,10%の行動変容,及び44%の態度変容を促すことができた.2)行動変容の内容としては,エンディングノートや遺言書の作成,登記の確認,相続などの引き継ぎに関する情報収集等であった.3)態度・行動変容ともに高齢である方が変容しやすい。また,住宅の将来について身内の相続等の引継ぎに言及している方は行動変容につながりやすく,一人で考えた方は態度変容しても行動変容にはつながりにくい傾向にあった.