著者
中島 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.783-799, 2008 (Released:2008-11-17)
参考文献数
106
被引用文献数
5 6

薬物の乱用は世界中で大きな社会問題を引き起こしている.乱用によるリスクから人々の健康を予防し,守るためには乱用薬物の分析法の開発と応用が重要である.一方,薬物の摂取を証明するには,血液や尿などの生体試料の分析が不可欠であるが,その中で,毛髪は長期にわたる摂取情報を知ることのできる貴重な試料といえる.毛髪分析の歴史は比較的新しいが,分析機器の発展に伴って,実用的で有用な分析法が開発されるようになり,現在では法中毒学あるいは臨床化学などの分野で大いに利用されるようになっている.本総説では,毛髪分析の歴史,意義などを解説するとともに,最近の分析例を紹介する.
著者
中島 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.135-159, 2000 (Released:2001-06-29)
参考文献数
199
被引用文献数
31 32

化学反応の結果生じる発光を計測して,反応基質そのものや反応に関与する化合物を分析する化学発光計測法は,高感度で選択的な方法の一つとして良く知られている。特に,化学発光は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)やイムノアッセイの検出系に利用され,超高感度な分析法が開発されている。本論文では,化学発光の歴史について簡単に触れた後で,代表的な発光反応の機構や特性を概説し,化学発光計測を利用する分析法についてHPLCなどのフロー分析法への応用研究を中心に詳述した。応用研究については,化学発光試薬を詳述するとともに,化学発光計測の特長である高感度性を利用する生体成分などの微量物質の分析例を多数紹介した。また,新規な化学発光計測あるいは発光試薬を紹介し,それらの分析化学的な応用性について概説した。
著者
前田 隆浩 中島 憲一郎 高村 昇 山崎 浩則 草野 洋介
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

特定健診受診者1,295人を対象として、動脈硬化に関連することが報告されている遺伝子MTHFR(rs1801133)、HDAC4(rs3791398)、CARKL(rs465563)、Adiponectin(rs1501299)について多型解析を行い、頸動脈内中膜複合体厚(CIMT)と心臓足首血管指数(CAVI)との関連について検討した。いずれの遺伝子においてもCIMTとCAV Iとの間に有意な関連を認めず、ハイリスクアリルの保有数をもとに分類した5群における解析でも有意な関連は認めなかった。しかし、保有数が多いほどC AVI値が上昇する傾向があり、遺伝子多型と動脈硬化との関連が示唆された。