著者
平泉 裕 中島 敏明 今西 登之彦 佐藤 義昭
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.768-775, 2017-10-18 (Released:2017-12-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1

加圧トレーニング法は下肢または上肢を空圧式加圧ベルトで加圧し,適度な血流制限下での運動により短期間・軽負荷で筋肥大効果を期待できる.本法はオリンピック選手やプロスポーツ選手の強化トレーニング法として実績があり,近年はリハビリテーションや医療現場でも応用されるようになった.本技術は軽い身体負荷での運動を選択する必要がある患者に対して有効と考えられ,高齢化社会にふさわしいリハビリテーション法と考えられる.
著者
中島 敏明 飯田 陽子 大沼 仁 岸田 信也 高野 治人 岩沢 邦明 永井 良三
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.542-548, 2006-05-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
28

男性は女性に比し,心房細動,心筋梗塞などに伴う心室頻拍,突然死などの発症が多く,一方,女性は,男性に比し,QT延長症候群(特発性,薬剤性)の発症が多い.これら不整脈の性差の機序については,現在でも不明な点が多いが,性ホルモンの心筋イオンチャネル,自律神経などへのgenomic,nongenomicな作用が複雑に関与していると考えられる.一方,不整脈治療においては,不整脈に対する直接効果を狙った下流に対する(downstream)治療とともに,近年では,その原因に追るアプローチである,より上流に対する(upstream)治療の重要性が注目されている.本稿では,不整脈の性差の発生機序につき,不整脈のupstreamおよびdownstreamへの性ホルモンの作用の点から概説する.
著者
中島 敏明 杉本 恒明 川久保 清 戸田 為久 三輪 篤子 村川 祐二 野崎 彰 倉智 嘉久 天野 恵子 坂本 二哉 真島 三郎 伊原 正 田中 博 古川 俊之
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.237-246, 1986

肥大型心筋症 (HCM) の再分極異常の成因を知る目的で, QRST isointegral mapを作成し, 安静時および運動負荷後の分布を検討した.対象は, 正常群10例, HCM群35例 (閉塞型HOCM10例, 非閉塞型HNCM15例, 心尖部型APH10例) である.安静時QRST isointegral mapは, 正常群では左前胸部に極大を, 右胸部上方に極小をもつ分布を示したが, HCMでは , HOCM40%, HNCM60%, APH90%に, 左前胸部に極小をもつ異常分布がみられた.極小点は, APHではV<SUB>4, 5</SUB>周辺に, HNCMではV<SUB>5</SUB>に, HOCMではばらつく傾向があり, 各病型による多少の差異をみとめたが, 重複する例も多くみられた.安静時QRST isointegral mapの異常例に対し, 運動負荷後の分布の変化につき検討した.APHでは9例中8例において, 左前胸部の極小は, 右胸部上方に偏位し, ほぼ正常な分布を示した.HNCMでは9例中8例は, 負荷後も安静時と同様の異常分布を示した.HOCM4例では負荷後左前胸部下方に極小が偏位する傾向がみられた.以上より, HCMの再分極異常は主として1次性変化と考える.また, 運動時変化がHCMの病型で異なったことは, 心筋の肥厚形態の他に, 心筋自体の性質の差による可能性があり, HCMにおける再分極異常の成因は単一のものではないことが示唆される.