著者
勝山 光太郎 佐藤 文明 中川路 哲男 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.234-241, 1989-02-15
被引用文献数
1

情報通信システムの発展に伴い 各種通信ソフトウェアの開発機会が増大するとともに その規模も拡大し 通信ソフトウェアを効率的に開発することが課題となってきている.このため我々は 近年注目を集めているオブジェクト指向言語によるソフトウェアの高い生産性に着目した.また 情報通信システムおよび通信ソフトウェアの論理構造と オブジェクト指向モデルとの類似性が高いことから オブジェクト指向言語によるこれらの設計開発を行うこととした。そのために 通信ソフトウェアに要求される実行速度を十分に考慮しつつ オブジェクト指向言語の特徴を生かし かつ汎用的なシステム記述言語であるC言語と親和性のあるオブジェクト指向言語superCを開発した.さらに 本言語をOSI通信ソフトウェアの開発に実際に適用することによって オブジェクト指向による設計・開発の効果を確認し その言語で書かれたプログラムの性能を評価した.その結果 オブジェクト指向言語の利点を生かして 効率的に開発が行えることが確認できた.また オブジェクト指向で問題となっている実行速度に関しては コンパイル時にメソッドの探索・決定を行う静的束縛の機能を導入したことにより 実行時にメソッドの探索を行う動的束縛に比べ2倍以上の速度を得ることができることを確認した.
著者
相澤 雅彦 宮内 直人 中川路 哲男 勝山 光太郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.157-158, 1994-09-20

従来の集中処理ではホストが一つであるため、構成情報には起動されているアプリケーション名が記述されていた。これに対し、分散処理ではサーバが複数であるため、アプリケーション名に加えサーバ名つまり位置情報が必要となる。一方、分散処理では複製が可能であり、あるサーバの障害発生時に障害の発生したサーバで動作していたアプリケーションを他のサーバ上で動作させることができる。本稿では分散処理においてアプリケーションの動作場所を固定した構成情報とアプリケーションの動作場所を選択する柔軟な構成情報を初期化時とサーバのダウン障害時において比較し、両者の長所を生かした方法を提案しそのシステム例を示す。
著者
宮崎 一哉 中嶋 春光 中川路 哲男
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.246-247, 1997-09-24
被引用文献数
2

インターネットの爆発的普及に伴い, その本格的な活用に対する要求が高まるなか, エレクトロニック・コマース(EC)が次代情報通信産業の牽引役として注目されている。とりわけECの対象商品をデジタルデータとする場合, 流通コストの削減効果は絶大であるため, 制作から配布, 利用まですべてネットワーク上で行なえるデジタルコンテンツは, ECにおいて最も有望な商品の一つとみなされている。ところが, デジタルコンテンツには「完全な複製が非常に容易である」という性質があることに起因する問題点を抱えている。これに対処するため, 著作権管理, 課金管理, 不正利用防止という切り口から情報セキュリティ技術を応用した様々な研究が行なわれている。一方, PCの高性能化やオーサリングツールの高機能化により, 専業者から非専業者まで, 計算機の熟練者から非熟練者までと, デジタルコンテンツの制作者の裾野は拡大をつづけている。このことは, コンテンツの配布者や利用者に対して, より弱い立場の制作者が増大することを示しているが, 従来の研究においては, コンテンツの配布者対利用者という視点からのアプローチがほとんどであり, 制作者からの視点に基づいたものがみられなかった。本稿では, 立場の弱い制作者の保護に重点を置いたデジタルコンテンツの配布方式について述べる。