著者
中村 健之介
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻比較文化 : 大妻女子大学比較文化学部紀要 (ISSN:13454307)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.146-127, 2008

今回は、「ドストエフスキー・ノート(3) 日本ロシア文学会講演」(『大妻比較文化 紀要7』)の追記である。
著者
中村 健之介
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシヤ語ロシヤ文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.11, pp.60-72, 1979-10-10

Czeslaw Milosz's essay "Dostoevsky and Swedenborg" in his book "Emperor of the Earth" (Univ. of California P. 1977) interests us in the following two points: 1) the essay has made it sufficiently clear that Dostoevsky as a religious thinker had "the so-called scientific Weltanschaung". This fact helps us to understand without embarrassment Dostoevsky's materialistic reasoning as to the theological problems such as "Resurrection" or "the Other World". 2) C. Milosz finds Gnostic way of thinking in Dostoevsky's Christology, which can be tracted back through Saint-Simon and Fourier to Swedenborg. Here also, we feel, Milosz has shown a keen historical insight into the somewhat heretical Christology of Dostoevsky.
著者
杉橋 陽一 長木 誠司 川中子 義勝 石光 泰夫 一條 麻美子 田中 純 中村 健之介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究からは芸術のメディア的戦略をめぐり、次のような成果が得られた。1.中世から近世への歴史的展開のなかで、文学や神学が印刷術などによるコミュニケーション上の組織化を通じて社会層や価値共同体の形成に寄与した実態が、実証的に究明された。2.身体表現を中心に複数の芸術が総合されて実現されたマルチ・メディア的な芸術の新しい情報伝達手法が、オペラやバレエ作品の実例に即し、歴史的に分析された。3.文学や文字メディアにおける俗語革命や出版の資本主義とその他のメディアによる情報流通のシステムの相互作用が、市民社会的共同体形成途上にあった近代のドイツにおける事例、および明治以降の近代日本における事例を相互比較しながら分析された。4.建築や音楽の言語性と象徴性が20世紀にかけて生じた機能性の増大と形態の抽象化等々の変動のなかで獲得した新たな意味論を、シェーンベルク以降の音楽および現代建築を対象として考究した。5.近代的な「イメージ」の成立機制を、19世紀に発明された写真というメディアをめぐる言説分析を通じて考察し、写真的<メディア戦略>のパラダイムの所在を追跡した。6.マクルーハン以降、現在のドゥブレによるメディオロジーやキットラーのメディア理論の批判的検討を行い、その理論的可能性を現代の舞踊・音楽などの芸術的実践の分析を通じて探究した。7.メディア・アートの領域において、芸術家同士、あるいは技術メディア自体のインタラクティヴな活動がはらむ新たな芸術形態の可能性を、現在の多様な創作状況に即して検証した。
著者
中村 健之介
出版者
大妻女子大学
雑誌
大妻比較文化 : 大妻女子大学比較文化学部紀要 (ISSN:13454307)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.143-127, 2006

「ドストエフスキー・ノート(2)」の「ドストエフスキーとイギリス」は、「日本ヴィクトリア朝文化研究学会」創立記念講演(二〇〇一年十一月十七日 大手前大学)のノートである。今回は、十月「日本ロシア文学会」で行なった講演(ニ〇〇五年十月七日 早稲田大学)を文字に起し、それに補足加筆してみた。今回の講演もおよその筋書きは用意していったのだが、いざ話し始めるとその場で思い浮かんでくることがいろいろあって、予定していたのとはかなり違ったかたちの話になってしまった。しかしそれでよかったと思う。講師は千葉大学の御子柴(みこしば)道夫氏と私の二人で、私の前に御子柴氏が「ソロヴィヨーフからロシア正教思想へ」と題して自分の研究の道すじについて話された。私は「宣教師ニコライ、出会った人たち」という話をした。「宣教師ニコライ」とは、東京神田のニコライ堂(東京復活大聖堂)でその名が知られるロシア正教会の宣教師、幕末から明治末まで半世紀にわたって日本人にロシア正教を伝えるべく奮闘した天主教ニコライ(俗姓カサートキン 一八三六〜一九一二)のことである。ニコライは、一九七〇年ロシア正教会によって列聖された。今日ニコライは、ギリシャをはじめとする東方正教の諸教会でも、また欧米のロシア正教会(The Russian Orthodox Church outside Russia)でも、「日本のニコライ」として広くその名が知られている。二〇〇三年には、北米サンフランシスコのDivine Ascent PressからSt.Nikolai Kasatkin and the Orthodox Mission in Japan. A Collection of Writings by an International Group of Scholars about St.Nikolai and his Disciples, and the Missionが刊行された。