- 著者
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中村 優里
片桐 由希子
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.3, pp.268-275, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
- 参考文献数
- 21
全国都市緑化フェア(以下、緑化フェア)は緑のまちづくりへの継続的な効果を得ることを狙いとした、1983年から続く自治体持ち回り式のイベント事業である。本研究では、過去に緑化フェアを開催した9都市の担当者へのヒアリング調査を通じて、緑化フェアの実施による効果とイベントレガシーとしての定着を把握した上で,その評価の視点を整理した。緑化フェアのレガシーと明確に評価されたのは、会場である都市公園を中心とした公園の利活用の促進、緑化活動の活性化と人材育成に関する事業・制度、関係組織の設立や活性化であり、シティープロモーションの効果も認識されていた。一方、レガシーとしての効果の定着は、フェアの企画・実施の体制の、施策としての展開と連動の有無に依存する。緑化フェアが多様な立場の主体にとっての社会実装の場として、都市における緑の可能性を見出す機会となるためには、緑化に対する意識醸成やライフスタイル、イベントの実施のプロセスを通じた協働の場の構築など社会的な効果など、現状では前後を知る担当者が実感する状況の変化や、他業種の事業者の視点での経済的な効果など、分野を横断し共有するための評価が求められる。