著者
伊川 耕太 中村 幸人
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.403, 2004 (Released:2004-07-30)

伊豆大島の気候的極相林はオオシマカンスゲ-スダジイ群集となるが、噴火の影響を受けている現存植生とは異なる遷移段階の植生がみられる。本研究では植物社会学的方法(Braun-Blanquet 1964)を用いて植生調査を行い(1)伊豆大島に存在する植生単位を抽出する。(2)一次遷移、二次遷移の系列ごとに植生単位を整理し、両遷移系列を明らかにする。(3)両遷移系列の関係について明らかすることを目的とした。一次遷移には、ハチジョウイタドリ_-_シマタヌキラン群集→ニオイウツギ_-_オオバヤシャブシ群集→オオバエゴノキ_-_オオシマザクラ群集→オオシマカンスゲ_-_スダジイ群集という遷移系列がしられている。二次遷移では、その成立要因として人為的影響があげられた。また、火山による攪乱が比較的弱い立地では、火山による二次遷移が見られた。それらは、火山灰の影響をうけ、林床にダメージを受けているが、種や個体サイズの違いによって生存に違いが見られた。また、低木以上の種も、火山灰や高熱により被害を受けるが、胴吹きなどによって再生する個体が見られる。その結果、火山の影響を受けた二次遷移の系列が成立し、植生単位として、ハチジョウイボタ_-_オオバエゴノキ群落、ツルマサキ_-_オオシマザクラ群落、オオバエゴノキ_-_スダジイ群落が判定された。これらの群落は、オオシマザクラ_-_オオバエゴノキ群集との共通種が出現しているものの、その標徴種を欠いていた。この群落はニオイウツギ-オオバヤシャブシ群集に対応し、オオバエゴノキ_-_オオシマザクラ群集へ遷移していくと考えられる。オオバエゴノキ-スダジイ群落は高い優占度でスダジイが混交するものの、オオシマカンスゲ_-_スダジイ群集の種は出現していない。この群落はオオシマザクラ-オオバエゴノキ群集に対応し、オオシマカンスゲ-スダジイ群集へ遷移していく。
著者
松林 尚志 石坂 真悟 中川 徹 中村 幸人
出版者
東京農業大学
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.110-115, 2009 (Released:2011-07-26)

多摩川源流域山梨県小菅村の奥山2地域と里山2地域の計4地域において、2008年4月から12月までの9ケ月間、6台のセンサーカメラによって、げっ歯目と翼手目を除く中大型哺乳類相の調査を実施した(1,130カメラ日)。その結果、11種の中大型哺乳類が確認され、撮影頻度(100カメラ日あたりの撮影枚数)が高い種は、上位からニホンジカ(Cervus nippon;12.9)、イノシシ(Sus scrofa;5.4)、テン(Martes melampus;4.5)、ニホンザル(Macaca fuscata;3.3)、そしてタヌキ(Nyctereutes procyonoides;3.1)であった。1位のニホンジカの撮影頻度の割合(32.7%)は、2位のイノシシ(13.7%)に比べ2.4倍高く、4地域すべてにおいて相対的に高い値を示した。また、調査4地域において、対象種の撮影頻度の合計が最も高い傾向を示したのは、湧水域を対象とした奥山地域B(120.2;8種)で、続いて里山地域A(46.0;9種)、里山地域B(44.5;10種)、奥山地域A(17.3;10種)の順であった。湧水域の撮影頻度の高さは、この地域の個体数あるいは利用頻度の高さを反映したものであり、この地域が野生生物管理にとって鍵となる環境であることが示唆された。
著者
奥田 重俊 中村 幸人
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学環境科学研究センター紀要 (ISSN:0286584X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.167-174, 1988
被引用文献数
1

Phytosociological studies of the hedgerows in rather old villages were conducted in the Amami islands of southwestern Japan in 1988. Three types of hedgerows were recognized ; 1. Ficus-virgata-Ficus microcarpa type, 2. Garcinia subelliptica type, and 3. Viburnum suspensum Fraxinus insularis type. Based on more widely surveyed materials, these types were classified through species combination into the following three hedgerow groups. A. ficus virgata group, characterized by Ficus virgata, Viburnum awabuki etc. and occurring young limestone soil originating from elevated coral reefs. B. Viburnum suspensum-Podocalpus macrophyllus group, classified by the Presence of Podocarpus macrophyllus and Viburnum suspensum, and found on well weathered soil on old limestone. C. Codiaeumt variegatum-Bougainvillea spectabillis group, Characterised by ornamental garden species and planted in the developed towns and cities. The distribution of these first two hedgerow groups seems to correspond to the potential natural vegetation.