著者
奥田 重俊 中村 幸人
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学環境科学研究センター紀要 (ISSN:0286584X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.167-174, 1988
被引用文献数
1

Phytosociological studies of the hedgerows in rather old villages were conducted in the Amami islands of southwestern Japan in 1988. Three types of hedgerows were recognized ; 1. Ficus-virgata-Ficus microcarpa type, 2. Garcinia subelliptica type, and 3. Viburnum suspensum Fraxinus insularis type. Based on more widely surveyed materials, these types were classified through species combination into the following three hedgerow groups. A. ficus virgata group, characterized by Ficus virgata, Viburnum awabuki etc. and occurring young limestone soil originating from elevated coral reefs. B. Viburnum suspensum-Podocalpus macrophyllus group, classified by the Presence of Podocarpus macrophyllus and Viburnum suspensum, and found on well weathered soil on old limestone. C. Codiaeumt variegatum-Bougainvillea spectabillis group, Characterised by ornamental garden species and planted in the developed towns and cities. The distribution of these first two hedgerow groups seems to correspond to the potential natural vegetation.
著者
酒井 博 佐藤 徳雄 奥田 重俊 秋山 侃
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.101-107, 1976-10-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11

沖繩における放牧用人工草地の雑草調査を行ない, 雑草の種類, 群落区分, その動態について, 次のような結果をえた。1) 雑草の種類は主に熱帯, 亜熱帯に分布するものが多く, 温帯に属する内地の種類と異なるが, 草種全体の生活型組成では大きな差異は認められない。2) 沖繩本島安田の草地は, スダジイ林を伐採して造成したもので, キク科の一年生雑草が多い。立地条件や放牧強度の差異によりワタナ-チチコグサ群落, バヒアグラス群落, ツルメヒシバ群落, イヌタデ群落, コバナビメハギ-ヒメジソ群落, リュウキュウイチゴ群落が成立し, 群落間に遷移がみられる。3) 石垣島, 与那国島では, 半自然草地を含んで群落を区分した。海岸風衝地域では半自然草地のコウライシバ-ソナレムグラ群集がみられる。隆起珊瑚礁を母材とする石灰質土壌上の草地はチガヤ草原から造成されたものが多く, チガヤ-スズメノコビエ群集が広くみられる。第3紀層砂岩に由来する酸性土壌上では, 前歴が耕作地の草地にノジアオイ-オガサワラスズメノヒエ群落が, 前歴がススキ草原の草地にカラスキバサンキライ-ススキ群落がみられる。4) 種の結びつきをもとに, 前記の群落間の類似関係を明らかにし, 人工草地における土壌条件や家畜の放牧圧などに対応した雑草群落の動態について考察を行なった。
著者
宮脇 昭 ステファン マアス ヨヒム クリュガー ゲハルト ワグナー アンケア ヤンセン ハソオ モエスター パウル ミュラー 藤原 一絵 村林 眞行 青木 淳一 奥田 重俊 MULLER Paul
出版者
横浜国立大学
雑誌
海外学術研究
巻号頁・発行日
1987

新しい都市生態系の科学的研究法を, 国際的視野から生態工学的に確立し, 相互の現地調査による良好な都市環境の保全, 積極的な創造についての比較研究の成果や実績の討議を行うことによって, 日本ならびに世界の都市環境の保全, 創造について科学的な基礎と指針を提供することを目的としている.都市生態系と自然環境の診断, 回復研究の対象都市域として西ドイツザールランド州の州都ザールブルッケン地区と日本の横浜地区を中心に, さらに東京沿岸域を主な研究対象地区に選定した. ザールブルッケン地区では, P.ミユラーグループの長い間にわたる都市環境指標として有効な生物を使った環境モニタリングの現地協同研究を行った.また横浜地区では研究代表者らが10数年来実施し, 国際的にも広く評価されはじめている潜在自然植生図を基本とした環境保全林形成による都市生態系回復状況について, ヨーロッパ各地の研究例との比較考察が現地で行われた.ザールブルッケン地区ならびに浜横をはじめ東京湾岸沿いの両大学の現地協同調査・研究の結果は, 1988年2月23ー24日横浜国立大学で実施された「都市域における人間生存環境の回復と創造」で集約されたように多面的に新知見が得られている(研究発表参照).とくに西ドイツの研究者によって最初にその理論が発表された潜在自然植生(Tuxen,R.;1956他)の概念を空間的に具現した潜在自然植生図は, 従来ヨーロッパでは, 田園景観域を対象に研究, 図化されていた. 従って応用面でも利用が農林地, 牧場などの潜在生産性の判定, アウトバーン沿い斜面の環境保全林, 保全緑地に限定されてきた憾みがあった.今年(1987)度にヨーロッパの都市域の潜在自然植生の判定, 図化の研地協同研究の結果, 日本ですでに東京湾沿いの照葉樹林帯はもとより, 北海道の夏緑広葉樹林帯から沖縄まで潜在自然植生図化と, その基礎に形成された郷土林;環境保全林の創造, その後の生長実績からヨーロッパ各地の都市域での潜在自然植生図化が十分に可能であることが明らかにされた.また生物モニタリングシステムによる都市域環境の診断については, 日本でも, より本格的に, いわゆる"ミュラーシステム"の適用のための今後の研究推進の必要性が確認された.