- 著者
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中村 昌允
- 出版者
- 名古屋工業大学技術倫理研究会
- 雑誌
- 技術倫理研究 = Journal of engineering ethics (ISSN:13494805)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.53-84, 2008-12-25
集団食中毒事件、JCO臨界事故、そして、最近でも「再生紙への古紙配合比率の偽装」「建築強度の偽装」など、技術の信頼を揺るがすような事故やトラブルが発生している。今回は、これらの事件における技術者の行動に焦点をあてて、技術者の責任を考えてみたい。共通している事は、そこにいる技術者が、実際の現場で判断し行動していることである。それだけに、技術者は科学技術がもたらす危害を防げる最も大きな可能性を有している。21世紀は科学技術への依存度がますます高くなり、一般社会人にとっては、技術者の存在が安全・安心の担保となる。技術者は、各専門分野のプロフェッショナルとして、技術に忠実に判断し説明責任を果たしていくことが、社会からの信頼を得ることになる。