著者
若林 宏保 中村 祐貴 徳山 美津恵 長尾 雅信
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.13-21, 2021-02-26 (Released:2021-02-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

人口減少に喘ぐ地方都市は,人々との関係性を育むためにブランド戦略の再構築が求められている。その基となるブランド力指標の多くは,都市の相対的な位置付けを把握するには適するものの,人々を引きつけるブランド・ストーリーを導くような意味構造の把握は難しい。本研究ではその課題解決のために,都市に対する行動意向と意味構造の調査を実施し次の分析を行った。まず,従来の地域ブランド指標に関係人口の概念を包含し,都市への行動意向の指標化を試みた。因子分析によって3つの行動意向(生活因子,体験因子,貢献因子)を導出した。次に3つの因子の平均因子得点から階層的クラスター分析を行い,都市のイメージ連想を4つに類型化した。それぞれリッチ・ストーリー型,ユニーク・ストーリー型,コモディティ・ストーリー型,ノン・ストーリー型と命名した。最後に各クラスターにおける意味構造の特徴を「ワードの数」「ワードの意味」「意味や文脈の構造」の3つの観点から捉え,戦略的示唆を提示した。研究の展望では,外的妥当性とブランディングの有効性を高める方途について言及した。
著者
中村 祐貴 井内 美郎 井上 卓彦 近藤 洋一 公文 富士夫 長橋 良隆
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.203-212, 2013-10-01 (Released:2014-08-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

長野県野尻湖底には,過去10万年以上にわたり堆積物が累積しており,後期更新世以降の湖水位変動を明らかにし,さらにはその原因である水収支の変動を検討できる可能性がある.本論文では,野尻湖の音波探査記録に見られる湖水位指標と火山灰年代との組み合わせから,湖水位変動を復元した.その結果,湖水位は過去約4.5万年間に8回の上昇・下降を繰り返していることが明らかになった.復元された湖水位変動と,野尻湖における花粉組成や全有機炭素濃度プロファイル,グリーンランドのNGRIPや中国のSanbao/Hulu洞窟の酸素同位体比プロファイル,および地球規模の寒冷化イベントの時期とを比較すると,寒冷期とりわけHeinrich eventなどの急激な寒冷期と湖水位上昇期とが対応している.寒冷期に湖水位が上昇する要因としては,地球規模の急激な寒冷化の影響を受け,冬季モンスーンが強化されたことに伴う日本海からの水蒸気供給量の増加によって,この地方の降雪量が増加したことが,主要因として考えられる.