著者
渡辺 健 中村 麻美 石田 哲也 渡邊 忠朋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.105-120, 2022 (Released:2022-03-20)
参考文献数
36
被引用文献数
1

コンクリート構造物の様々な設計条件に対応するために,従来指摘されていた配合や外気相対湿度に加えて,混合セメント,骨材収縮ひずみおよび水掛かりの影響を入力可能な,コンクリートの収縮ひずみ予測式を構築した.予測式は,3次元材料-構造連成応答解析システムDuCOM-COM3に基づき定式化しており,構造物を想定した部材厚や,水結合材比の低いコンクリートも含めて,収縮ひずみの長期材齢への適用性を確保している点に特徴がある.また,高炉セメントコンクリート(B種)を用いた供用中のプレストレストコンクリート(PC)桁に生じているコンクリートのひずみおよびPCラーメン橋のたわみなど,コンクリートの収縮が一因とみられる現象が,予測式を用いて説明されることを確認した.
著者
平田 令子 高松 希望 中村 麻美 渕上 未来 畑 邦彦 曽根 晃一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.113-120, 2007 (Released:2008-05-21)
参考文献数
25
被引用文献数
14 6

スギ人工林へのマテバシイの侵入に係わる野ネズミの働きを解明するため,2003年4月から2005年1月まで,鹿児島大学演習林内の常緑広葉樹林とそれに隣接するスギ人工林において,堅果の落下状況,野ネズミによる堅果の散布状況,マテバシイ稚樹の生育状況を調査した。自然落下による分散距離は平均2.4m,人工林への侵入距離は最大4.4mであった。2003年と2004年の秋に200個ずつ設置した磁石付き堅果のうち,それぞれ66個,58個を野ネズミは人工林内に運搬し,林分の境界から貯食場所までの距離は,2003年は最大34.5m,2004年は18.5mであった。2003年の貯蔵堅果のうち6個は翌春まで人工林内に残存した。人工林内のマテバシイ稚樹の生育密度は林分の境界から距離とともに減少したが,境界から10m以内は広葉樹林内と有意差がなかった。以上のことから,人工林へのマテバシイの侵入に野ネズミは種子散布者として大きく貢献していると考えられた。