著者
佐藤 紀 宮部 雅幸 川真田 樹人 中江 裕里 表 圭一 並木 昭義
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.15, no.9, pp.616-619, 1995-11-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
6

咽喉頭全摘出術患者10名にリドカインを用いて頸部硬膜外麻酔を施行し,反復投与による血漿リドカイン濃度の推移を検討した.笑気酸素-セボフルランを用いた全身麻酔下で,初回に20万倍エピネフリン添加2%リドカイン3mg/kgを投与し,1時間後より1時間ごとに20万倍エピネフリン添加1.5%リドカインを循環動態に応じて1~2mg/kg追加投与した.初回投与後,血漿リドカイン濃度は15分でピークに達し,追加投与直前の1時間後に最低となった.初回投与3.5時間後に2.6±0.6 (SD) μg/mlに達した後は,およそこの血漿中濃度で安定した.長時間にわたる頸部手術における頸部硬膜外麻酔併用全身麻酔では,安全なリドカイン血漿濃度を維持できることが示された.
著者
中江 裕里 高橋 俊彦 宮部 雅幸 並木 昭義
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.189-192, 1993-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
15

軽度の耳下腺腫脹と著明な血清アミラーゼ値の上昇により術後耳下腺炎と診断された症例を経験した.耳下腺の腫脹は手術後1日目から6日間持続したが,炎症症状を欠き,局部の冷却湿布と通常の上腹部手術術後管理に準じた抗生剤および輸液管理により軽快した.耳下腺腫脹の原因としては手術中のバツキングによる腹圧上昇,気管内チューブによる咽頭反射の亢進による唾液腺の静脈うっ血に起因する耳下腺管の閉塞が考えられた.術後耳下腺炎はまれな合併症であるが,日常の麻酔管理における操作が原因となりうることを常に銘記すべきと思われた.